風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

バレンタインデーのギフト

 前日に水道管が水漏れを起こしたり、ホイロはぎりぎりのところで手作りしたり、さらには当日は雪が降ったり、という波乱の幕開けか?と思われたパン工房開店日。
 とりあえず、朝6時前に起きられて、第一関門クリアー(笑)
 昨日仕込んだ生地は元気に発酵し、7時から作業を開始して、開店時刻の11時までには一部の焼き上げと成型が終わった。
 そろそろ看板を出しに行かないと、と思っていたら、ドアベルが鳴って人の気配が。
こんな雪の寒い日に、なんとお客様第一号!
 すぐ近くに住んでいるという方で、「開店準備中」の看板が出ているのを見つつ、いつから始めるのかなぁ〜とご主人と話していたとのこと。14日OPEN!という、目を凝らさないと解らないような小さな看板もちゃんと見ていてくれたらしく、その日を覚えていて、雪だけれど行ってみようと来てくれたのだった。
話していると、「きれいなものじゃなくて、こういう毎日食べるものが欲しいのよね〜」と、近くにパン屋が出来たのを喜んでくれている様子。
 その後も午前中のうちに、近くに住んでいて看板を見て気になっていたという人が、「パンあります」という看板が出ていたからと、ぽつりぽつりと来てくれた。こんな雪の日だというのに。
お昼を過ぎると、なんだか暇になって、今日はさすがにもうお客様は来ないかな、と思っていたら、ネコさんの親戚のチハルさん(ネコさんが今までお母様から話を聞いていた久下田にいるはずに親戚の人を、パン工房プロジェクトで真岡にいる間に探しに行ったら縁が繋がり、なんと出会うことが出来たのだ!)とその娘さんが、前を通ったら「パンあります」という看板が出ていたから、といって来てくれて、そのまたあとも、近所の人が散歩の途中にパンを買いに来てくれた。
 とはいえ、夕方近くになって、さすがに全部は売れずに結構残ったなーと、明日用に袋に入れて、4時になったので 「本日パンあります」という看板を「今日はおしまい」という看板に変えて、母屋の方にストーブの灯油を入れに行っていたら、庭の方で人の気配が・・・。この前、友ちゃんとちゃんめぐが遊びに来てくれた時に顔を出してくれた、これまた近くに住む人だった。
 夕飯のシチューに使う生クリームを買いに出たついでに、わざわざパンを買いに寄ってくれたらしい。お店も閉めたところだったので、残った惣菜パンをおまけにつけて、ひとしきり話してさて帰ろうというところで、またもや人の気配が。
 1週間くらい前に、私が工房で酵母の世話をしている時に「ここ、パン屋さんですか?」と聞きに来た、小学生の女の子だった。「まだ、大丈夫ですか?」というので、「どうぞ」と答えたら、玄関の方で待っていたらしいお母さんも呼んできて、パンがまた売れた。で、まだ残っていたバターロールや豆パンをおまけにつけて、なんと、パンの残りがほとんど無くなった!

 こんなパン屋が理想…と思っていた、近所の人が歩いて買いに来てくれるパン屋さん。近くにパン屋が出来てよかったわ〜と言って、毎日食べるパンを買いに来る。
 開店したその日に、そんなお客様が来てくれた。
 会津の山奥で、思い立ってブルーベリーで酵母を起こして初めてパンを焼いた時、ブルーベリーの神様が降りてきた!と思った。そして、なぜかその時、パン屋になろう!と、決心した。
 その時に思い描いていたパン屋の形。
 諦めずにずっと、パンを焼き続けてきてよかった。
 あの時に播いた種が、今日、花開いた。
 2014年2月14日。
 今まででいちばん幸せな日だ!と思った。
 ブルーベリーの神様からもらった、バレンタインデーのギフト。