風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

手作りホイロの1年後

 今週、奇しくも初めて来てくださったお客さまの何人かから、

 いつから やっているんですか?

と尋ねられた。
 チラシもまかず、家の前に出した小さな看板一つで始めたやる気があるのかないのかわからない小さなパン屋。今年に入ってからも、ごく近所の方が来てくれることがあって、

 前から いつから始まるのかなぁと思っていたら
 看板があって 始まったみたいだなと思っていたんですけど
 うちの方から (パン屋らしき建物に)明かりが点いているのが見えて
 人が入っていくのを見ていたりして
 気になってはいたんですけど・・・(今日ようやく来ました)
 いつから やっているんですか?

と聞かれた(笑)
 驚くなかれ、

 ちょうど 1年になります。
 去年の2月14日から始めたので。

 1週間を54回繰り返し、季節を一巡して、間もなく開店1周年とは、自分でもびっくりである。
 どこで酵母がダウンしてパンが作れなくなるかわからない(特に、夏)という危険性と背中合わせの、綱渡りの自家製酵母のパンも、無事に1年を乗り越えられて感無量なのだが、もう一つ、パン作りを支えているものが、手作りのホイロ(発酵機)。
 開店直前にあわてて「工作」した手作りホイロだが、この1年間、私のパン作りの大切な道具として活躍してくれた。ま、業務用のホイロなど高価過ぎて買えませんし、うち程度の弱小パン屋にはそんな大がかりで電気代ばかり食う発酵機など必要もないので、自分で工夫するしかないわけなのだが、こんな、小中学生でも作れるようなちゃっちい道具で(一応プロとしてのパン屋の)仕事ができてしまったことに、我ながら笑ってしまう。

 はい。というわけで、ここからが今日のブログの本題です(笑)
 難を言えば、密閉度を上げたいところがまだ解決していないのだが、特に今週になって庫内の温度が上がらずに生地がうまく動いてくれず(二次発酵が進まず)、もう少し生地がふくらんでから焼きたいんだけどなぁ〜と思いつつ、このへんで焼いてみても何とか大丈夫かな?とやや疑問を持ちながら焼いて、予想通りにやっぱり焼くのが早すぎた!という出来上がりになってしまい、これをどう解決するかを悶々と考えていたのであった。
 庫内の温度と湿度は、ずっと、小さな加湿器一つでまかなっていた。それが、湿度は加湿器で十分と思われるのだが、温度がこの時期ではストーブで部屋を暖めても上がりきらないようなのだ。
 ゆえに、

 ・加湿器を2台にするまでの必要はない
 ・温度だけを上げたい
 ・当初使う予定で買ったコーヒーサーバー用のホットプレートでは、庫内の温度を上げるには不向きと思われる
 
という状況で、何かいいものはないだろうか?と考えていて、思い出したものがあった。

 そうだ!
 ひよこ電球!!

 非電化ホイロを作りたいと、非電化工房のフジムラ先生に相談した時に、温度を上げるために使うものとして電球という手もありますよ、と教えてもらっていた。電気は使うけれど、保温電球ならば消費電力を低く抑えることができる。最初、工作ではなく木工でホイロを作ることを考えていた時にそれを使うつもりでいたので買ってはいたものの、結局工作で作ってしまい、加湿器という優れものを見つけてしまったので出番を失っていたひよこ電球があるではないか!

 ということで、早速今日、手作りホイロに保温電球(別名 ひよこ電球)を導入してみた。


といっても、単にソケットに付けた保温電球をホイロの中に置いたというだけ。


(水蒸気で、画面がくもっております)


 どのくらい温まるものなのか、期待と不安を持ちつつ、電気をつけてしばらくしてからホイロの中に手を入れてみたら、


 おぉっ! 
 温かい!!
 ひよこ電球 すげー!

というくらいに、温かくなっていた!(感激
 今までの温まり具合があまりにもお粗末だったので、温度そのものはそれほど大きな差があるわけではないものの、あきらかにほんのり温かくなっているのがわかって、「保温電球」の威力を思い知ったのだ。
 そして、1時間ほどした後の生地の状態を見てみると、昨日までのさっぱり膨らんでこなくて困っちゃったな、とは明らかに違う生地のふっくら加減。
 さらに、焼いてみて、焼き上がりの具合も昨日までとは変わっていることが一目瞭然となり、思わず、

 ひよこ電球 バンザイ!

と一人でつぶやいてしまったのだった(笑)
 2月になって、体感的には冷え込みは少し緩んできたような気がするのだが、酵母が感じるパンの季節としては今がいちばん寒いのかもしれない。食パンやカンパーニュを入れて使っている市販の家庭用発酵機も、1月中は32℃で大丈夫だった設定温度を34℃くらいに上げないとうまく発酵が進まなくなっている。
 ちなみに、今日のカンパーニュの出来上がりが、これ。



 季節を本当に丸1年体験してみて、温度管理が重要なパン作りの(大型業務用機器に頼らない)微妙な調整方法が、ここにきてようやく一通りわかってきた。
 ちなみに、手作りホイロは二次発酵のための道具として使っているが、一次発酵に関しては、以前書いた「魔法の青い箱」=フードコンテナが大活躍中である。

 ということで、今日の結論。
 手作りホイロに於いて、保温と加湿は、小さな加湿器+保温電球(40w)でうまくいく(はず…)。
 お試しあれ〜!