すっかり秋らしくなり、日射しの角度が斜めになった。
野原のような我が家の庭では、ホトトギスが咲いている。
和の風情のこの花は、母が苗を買って植えたものなのか、それとも自然にここに生えていたものなのか、母に聞いてみるのを忘れたので今となってはどちらなのかわからないのだが、楚々とした佇まいと薄紫に斑点の色合いが秋の彩りにぴったりだ。
よくよく見てみると、花のカタチもおもしろく、その造形の美しさに目を引かれる。
イヌタデやエノコログサに交じって生えてきた雑草で、風にゆらゆらと揺れる姿が何ともいい感じで気に入っているこれ。
いったいなんていう名前なんだろう?
その一方で、今までぽつりぽつりと咲いていた赤花のゲンノショウコが群生して、地面をピンクに染めている。
見ていて不思議に思うのは、同じ地面のその中で、季節ごとに花を咲かせる植物が入れ替わっていくということ。春にアマナが咲いていた場所で、夏は露草が咲き、秋になるとゲンノショウコやエノコログサが大きくなる。
ヒトは、1つの場所に一つの家と一つの家族しか存在できないのに、草花は、同じ一画に季節ごとにたくさんの種類が生きられる。野原のような庭を見ていると、人間だけがその自然のサイクルの中から外れていることに気づかされる。