3月も半ばになり、庭先にはスズランスイセンや
アマナの芽が伸びてきた。
仕込みが佳境を迎える(?)夜明け頃、ふと気がつけば鳥の声がにぎやかになっている。
「恋鳥」と呼びたくなるような、楽しそうに囀りあうこの時期の鳥の声は、
ああ
春が来たんだなぁ
と思わせる、音楽のようだ。
2週間前に届いた三宝柑を食べながら、皮をためていき、先週末に三宝柑ピールを作った。
3回に分けて砂糖を加えて煮詰め、を繰り返すのだけれど、三宝柑の皮をことことと煮詰めている間、部屋の中に柑橘類の香りが漂い、その爽やかな香気が何とも言えずにいいのだ。
先週末は、桜あんパンも、今年初めて作った。
桜あんを作る時にも、桜の葉の塩漬けの独特の香りがほんのりと匂う。
あと2週間くらいすれば、この近辺でも桜の便りが聞こえるようになるだろうか?
高校生の時まで実家のある真岡で暮らしていた時には、春はあまり好きじゃなかった。
東京に住んでいた時にも、春はどこか精神的に不安定になりそうで、危うい心が壊れたりしないようにと無意識に自分を保っていたような気がする。
それが、会津で雪国の春を経験してから、春が来る本当の嬉しさを知った。
真岡に戻って、パン屋となった今は、春の訪れを素直に楽しめている自分がいる。
三宝柑ピールは2日ほど乾燥させて、完成した。
目にも鮮やかな(!?)、明るいオレンジ色の美しいピールになった。
これを刻んで、瓶詰にして保存し、パンのフィリングとなる予定。