高校を卒業する時に、記念の品としてもらった、益子焼のマグカップ。
ずーっとあまり好きになれなずに使うこともなく、実家に置いたままになっていた。
母が気に入って、何かに使っていたこともあって時々目にしたことがあったのだが、一度も自分でそれを持ち帰って使うということはなかった。
母が急に体調を崩した時には実家の茶の間の目につくところに置いてあり、その後母が入院した時には、庭の草花と一緒にそのマグカップを病室に持っていき、小さな花瓶代わりにして母が花を活けるのを楽しんだ。
そのマグカップ。
ふと、パン工房で仕事中にお茶を飲むのに使うのにいいかも…と思いたち、あらためてきれいに洗い、厨房の木のテーブルの上に置いてみた。
テーブルは、ステンレスの作業台のほかにもう一台小ぶりな机が欲しいと探していたところ、古家具店で欲しいサイズにぴったりの大きさで、木の雰囲気もいいテーブルを見つけて購入し、土曜日に配達してもらったもの。
今まで好きになれなかった黒と濃いめの浅黄色の色合いと、大きくてちょっと重みのあるマグカップの姿形が、このテーブルにぴったりとあった。
これからきっと、パンを焼く合間の一服に、このテーブルとカップが私の心に寄り添ってくれることだろう。