営業日には、朝から成型、2次発酵、焼成とパンを焼き上げてお客さまをお待ちしているわけなのだが、店が終わったそのあとも、まだ仕事は続く。
とりあえず店の片づけを済ませ、自宅の方の掃除や夕食の支度、そして夕ご飯を食べて後片付け、少し休憩したら(時には眠気に勝てず、仮眠することもある)、翌日の生地の仕込が始まる。プレーンな生地のほか、フィリングを入れる生地もあるので、フィリングの準備(分量を量ったり下処理など)、それから酵母の世話に道具の後片付けまで含めると、3〜4時間はかかる。
それが終わってからようやくお風呂に入り、寝床に着くに至るのだが、最近は気温との関係もあって夜中の0時前後から準備をするので、布団に入れるのは午前4時を過ぎていることもある。今の季節、4時には夜が明けていて、薄明るい。
で、寝たと思ったら7時には起き、その日の成型、2次発酵、焼成・・・と続いていくので、3ないし4営業日はほとんど時間の空きというものがない。正真正銘フルタイムで仕事をすることになる。
開店した当初は、朝起きたら9時半!というちょーびっくりな出来事もしでかしたが、今はもう体が慣れたらしく、7時頃には起きられるようになった。
そんなわけなので、営業日を3日間続けたら、体力はほとんど使いきった状態になる。実際には営業日の前日の夜から仕込が始まるので、週3日半、仕事をしているという感じ。そのかわり、3日半を乗り切れば、3日半は休み。
これまでそんな仕事の仕方を5ヶ月近くしてきたわけだが、こういう仕事の仕方は意外と自分には合っているような気がする。仕事を始めると集中する方なので、がーっと仕事をして、あとは休む。というやり方の方が、気持ちよく過ごせるのだ。
よく考えれば普通のOLらしきことをしていた時には、週5日、通勤時間を含めたらかなりの時間を拘束され、休みは2日間。時に祝日とか連休はあったけれど、何のために仕事をしているんだろう・・・と、ふと考えたこともあったな〜。東京での朝の満員の通勤電車など、よく耐えたものだと今さらながら感心する。あれ、非・人間的ですよね。
なんて話を、今日は非電化工房の自給自足大学の受講生の方々とする機会があった。
受講生の中に、自家製酵母のパン屋をやりたい!という人がいて、その人を中心に見学&交流会(?)に来てくれたのだ。
私自身は2年前に、非電化工房の「地方で仕事を創る塾(地創塾)」を受講したのがきっかけで、パン工房を仲間力で造ることができた経緯を持っているので、そのあたりの裏話も含めて、かなり盛り上がった。だいたい、非電化工房がらみの人たちは、悩みの方向が似ているので(笑)、話が通じやすい。
一般的に組織に属して仕事をしている人からしたら、3日間しかパン屋を開店しないというのは、我がままに思えるかもしれない。あるいは、それだけでやっていけるんですか?とか。お客さまからも、そのような質問を受けたことが何度かある。
でも、よ〜く考えてみてください。そういうパン屋があっても、あるいは、そういう仕事の仕方があってもいいのでは?
週5日間仕事はするものだ、というのは、ただの思い込み。自分が心地よくこれからを過ごしていくために、どんなふうに仕事をするかは、人それぞれであっていいはず。私は、週3日半仕事をして暮らせるようになりたい。
7年前、私がパン屋になろう!と決心した理由の一つには、組織に属して仕事をすることに嫌気が差したからということもある。
今日、自分がする仕事は自分で決めたい。1日の、あるいは1週間の時間の使い方は、自分で自由に決めたい。やっただけの報酬を正当に受け取りたい・・・。
そのためには、無駄な出費も抑えて。もう、特別に欲しいものもない。欲しいのはモノではなく、もっと違う何か。
パン屋を始めたら、劇的に気持ちが変わった。
幸せだな〜と思えることがが増えた。
お金を出して買ったものではなく、与えられた何かでもなく、自分で積み重ねて得た今という時間と生きるための小さな技。それがあれば、きっと何とかなるさ、と思えたりする。それに、コツコツと自分の中に積み上げたものはそう簡単に壊れたりはしない、と思えることが、心の強さにもなっている・・・気がする。
今日は七夕だけれど、去年の今頃は、パン屋を始められるのかまだ不確定で、すごく不安だった。でも、それから1年後の今、その時の願い事は自分の力+仲間力で叶えられている。
ま、あとは、収入的にもうちょっと安定して増えてくれると嬉しいかな〜(それが今のいちばんの願いではないですけどね