風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

元種レシピ 準備中

 ちょうど1週間前に、遊びに来てくれた(というか、相談ごと来たのだけれど、私とのこんな雑談でも役に立つのか?とはなはだ疑問の)友人Kさんとともに近くの公園まで行く折に外に出たら、桜が急に咲き始めていて、先週中には一気に満開になっていた。
 桜の写真を撮ろうとカメラを持って出た日には曇り空から雨が降り出し、桜を写せないまま今日に至り、昨日の暖かさと今日の冷たい雨で、桜ももう終わってしまいそうな・・・。
 あっという間に4月も1週間が過ぎてしまって、桜の花のはかなさに、お花見もままならないままに時が過ぎていく。

 と思いつつ、昨日は臨時休業の代替で臨時営業という通常外の営業にだったにもかかわらず、いらしてくれたお客さま、ありがとうございました!
 昨日最初にいらしてくれた方は、以前来てくれたことがあったものの、仕事が11時上がりのために帰宅の途中によるにはまだ店が開いていないためになかなか買いに来られなかったのだけれど、今日は12時に終わったので行ける!(今日やっているのは知っていたので)と、立ち寄っていただいた方だった。
 もう、それだけでも、店主感謝感激あめあられなのだが、聞けば某スーパーの鮮魚コーナーで品出しなどをしているというので、

 魚担当だと たいへんですね〜

と言ったところ、

 そんなんですよ〜
 手に魚のにおいがついて 取れなくて・・・
 ああ でも
 このパンの匂いに癒されます〜
 ずっと ここにいて 嗅いでいたい!

お店に入ってくるなり、いいにおい〜とおっしゃっていたそのお客さま、またもパンの匂いを胸いっぱいに吸い込むように大きく息を吸い込んだ(笑)
 思わず、

 パンの匂いの瓶詰めとか 作ろうかな

と言ったら、

 ああ いいかも!

いや、それはないと思いますが^ ^;)
 
 自分で言うのも何だが、考えてみれば、焼き上がったパンを置いておくだけでも部屋の中にパンのいい匂いが漂い、その匂いで自分自身が癒されていることがある。そういえば、イーストなどで焼いたパンってこんな風に匂わないよな〜?とあらためて考えたりするのだが、特に昨日は昼間の気温が急に上がり、発酵が早まっていい具合にパンもふっくらと膨らんで、本当に充実したところで焼くことができたのでなおさらなのかも。



 この工房のホイロが手作り工作の発酵機であるがゆえに、冬場は思うようにパン生地を温めることができず、やや消化不良のまま焼きに入ってしまっているところがあるのだが(大きな声では言えませんが…)、何百万円もする業務用の発酵機を使ってさえも、夏と冬ではパン生地の発酵の速度や調子が変わるのだから、これはもう致し方ないところもあるのだろう。酵母自身が、冬は休眠したい季節なのに駆り出されてお仕事させられている・・・みたいになっているのかな?(勝手な私の想像)

 パン生地そのものが生き物なので、観察するだけでもおもしろいのだが、思いがけず昨日も、「自家製酵母のパンの元種」に興味を持って聞いてくれたお客さまがいらっしゃった。お二人とも、パンは作ったことがない、もしくは手ごねで作って失敗したのでホームベーカリーで焼くくらい、という方だったが、興味を持ってくれただけでもありがたい。
 実は、私がパン屋になろう!と決心したきっかけの一つは、初めて酵母を起こしてパンを焼いた時に気づいたことを、誰かに伝えたい!と思ったから。パン焼くということは、(目には見えないけれど)自分のすぐ近くに住んでいる酵母という生き物の力を借りてパンを膨らませ、最後にはオーブンで焼くことによって酵母の活動を止めて、人間にとっておいしい食べ物にする、つまり、パンも酵母の命をいただくということなのだ、ということにあらためて気づき、このことを誰かに伝えたい!と思ったことが大きな動機になっている。もちろん、自分が食べたいと思うようなパンを同じように食べたいと思っている人もいるはずだ!ということも動機になってはいるけれど、パン屋になっていちばんやりたかったのは、「食べることは命をいただくこと」ということを、パンを通じて感じてもらうこと。
 自家製酵母のパンの元種を使って、自分でパンを焼いてみる。
 遊び感覚でも、気軽にそれができたなら、パンを食べることは酵母の命をいただくことでもある、ということを感じてもらえるのではないだろうか?

 というわけで、友人Mさん(っていうか、パンの講師もしているって、私より先輩じゃないですか!なのだが、自家製酵母はまだ初心者という心強い助っ人)にも協力してもらいながら、我が家のパンの元種で、ホームベーカリーでもうまく焼ける方法を探していこうと思っている。
 ちなみに前述の友人Kさんも、パン屋で働いたことのある人なので、先日来た時に作ってみませんか?ともちかけてみたら、欲しいです!というので渡したところ、早速パンを作ったらしい。これまた心強い助っ人ですな。
 パンを作ったことはほとんどないけれど、やってみたい!という方は、基本的なレシピが出来上がって、解説書(?)付きで元種を販売できるまで、しばしお待ちくださいね。
 それから、パン教室はやらないんですか?というご質問をいただくことが何度かあったのですが、時間的体力的に(それと、厨房のスペースなどの関係もあり)ちょっと難しいので、元種をお分けすることで自分で試行錯誤してみていただき、疑問質問に店頭でお答えする、という形でパン作りの支援をしていければなーと思っています。
 自家製酵母のパン作りは、いかに待てるかがポイントだったりします。気長にお待ちくださいね〜。