風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

春の色いろ

 庭に毎年葉が出てくることだけは覚えているチューリップは、赤い花だった!



母屋の茶の間の目の前の庭先に、毎年ぽつんと1つだけでてくるこのチューリップが何色の花だったか、なぜかいつも、思い出せない。
 どうして自分の中からこのチューリップの花の色の記憶が消えてしまうのか?そのことが謎である。

カントウタンポポや、




ハルノノゲシや、




クサノオウや、




 春は黄色い花が目につくけれど、それよりも、カキドオシやムラサキケマンホトケノザタチツボスミレのような、薄紫の花に惹かれる。




 関東に住んでいた頃は、春が苦手だった。
 急に生温かくなるこの気候に、どこか気持ちが不安定になりそうな気配を感じて、春という季節を全身で喜べないでいた。
 それが、奥会津という豪雪地帯に住んだことで、春が来ることの本当の嬉しさを知ることになった。雪国の春は、「冬が明けた」喜びに満ちている。毎日のように降り続く雪が、少しずつ間遠になって、晴れの日が増えていき、雪解け水の音が聞こえて、木々が一斉に芽を吹く。新緑の伸び方も、関東地方の2倍の速さがあるのでは?というくらいに、一気に周りの景色が緑色になった。

 そして、再び関東地方の実家に戻った今、春になるとやっぱりどこかで、心が不安定になりそうな気配を感じる。
 そんな繊細な心の動きを落ち着かせてくれるのは、元気いっぱいの黄色い花よりも、薄紫色の小さな花。
 急いだりあわてたりしないで、春の芽吹きを楽しみながら、ゆっくりね。