風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

いのちを生かす

 食べるたびに思うのだが、卵サンドは永遠に不滅ですな。




 梅雨が本番となったらしく、雨模様の日が続く。
 おかげで庭の雑草はいっそう勢いを増し、すっかり芝生のようになってしまった。




 こんな景色の我が家で、「酵母を育ててパンを焼く」ということが、ごく当たり前の日常となった。
 今では自家製酵母のパン屋さんというのがずいぶん増えたけれど、それでも一般的には、工場で純粋培養されたイーストや市販の「天然酵母」を使うところがほとんどだ。

 瓶の中で旬の果物を発酵させて酵母を培養し、それをスターターにして小麦粉の中に酵母を住まわせてパンの元種を起こし、その元種を使ってパン生地をこねてパンを焼く。会津に住んでいた頃、近くに自分が食べたいパンを売っている店がなかったので、それなら自分で作ってみようと思い立ってパンを作りはじめた当初からそうやってパンを作り続けてきたので、自分にとってパンを焼くということは、酵母を育ててパンを作るということとイコールになっている。
 これまで、どうしても酵母が起こせなくなった時に仕方なく市販の天然酵母を使ったことはあったけれど、それも自家製酵母が起こせた時点であっさりと切り替えてしまったので、市販の天然酵母でパンを作るコツをつかむところまでいかずに終わってしまった。
 なので、極端な言い方をすれば、私は自家製酵母でしかパンを作れない。でも、自分にとってはそれが、とても自然なことのようにに思えるのだ。




 3年前に戻ってきた真岡にある実家は、母の意向が生きた、自然の状態に近い庭になっていたので、草も虫も鳥も、1つの小さな世界をこの家の周りに作ってくれている。来てくれた方によく、

 ここは 静かですね・・・

と言っていただくのだが、住宅街の中にあるにもかかわらず、ここには不思議なくらいの静寂が漂っている。
 私が生まれる時に建てられたこの家に住み、酵母を育ててパンを焼き、それを買ってくださった方からいただいた対価でつつましい生活をする、という暮らし方を求めて実家に帰ってきたのだけれど、少しずつそれが形になってきて、自分の心の中にも平和な静けさがやって来た。
 今まで一体何に囚われていたんだろう?というくらいに、心に波が立たなくなった。・・・ま、たまにはさざ波が立つことがなくもないけどね(笑)

 以前、ある方から教えてもらった幸せの条件5つを思い出してみる。
 ・健康
 ・平和
 ・愛
 ・お金
 ・生きがい

欲を言えばきりがない。
 ここまで生きてきて次に目指すものは・・・、色々なものをそぎ落としていくこと、かな?いつの日か、無に帰る時まで・・・。





 猫みたいに、何も持たず、気持ち一つで生きていくことが理想なんだけどね。