風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

猫族家族

 午後、パンを焼き終わって道具などを片付けていたら、妙に近いところで子猫の鳴く声。
 数日前から隣の家の物置かどこかで子猫が生まれたらしく、みゅーみゅーという声が聞こえてはいたのだが、その子猫の声が、間近で聞こえているような・・・。
 まさか、うちの庭に入ってきているのではあるまいな?
 なんだか気になり、厨房の裏口のドアを開けたら、すぐそこに子猫の声が聞こえるではないか!しかも階段の上にはふわりとほたるがいて、体半分をデッキから乗り出すようにして、下方向を見ていたのだ。
 思わず私も下を見てみたら、



 ・・・!?
 いた〜!

 迷子の黒猫ちゃん。
 産まれてから1ヶ月経つか経たないかくらいのチビ猫が、周りを取り囲んだ猫(って、ふわり一家の三匹衆)に向かって大きな声で鳴き続けている。助けを求めているようにも見えたのだが、あめが近づくとますます声を大きくして、ちっちゃいくせに威嚇するような素振りになった。
 デッキの上から見ているふわりとほたるは、

 おお〜!?

てな具合にますます身を乗り出して、チビ猫を見ている。
 しかし、見ているだけで、我が家の猫たちは助けようとするわけでもなく、威嚇するわけでもない。




 この様子が妙におかしかったのでしばらく見ていたのだが、子猫は鳴き続け、うちの子たちは、

 こやつ 何者??

といった風に、謎の生き物でも見るような目つきで眺めるのみ。手を出すでもなく、助けるでもなく、威嚇するでもなく・・・なので、私は厨房に入って仕事に戻ったのだが、子猫の声がずっと鳴きやまないのでしばらくしてからもう一度見てみると、うちの3匹衆はもう飽きちゃったのか、三々五々好き勝手な場所に散っていて、取り残された子猫だけが一人で鳴き続けていた!

 あ、あれ!?(笑)


 そこで、ふと疑問に思ったのである。
 うちのふわりやあめやほたるは、この子猫のことを何だと認識したのだろう?
 同じ「猫」族として認識できたのだろうか?
 手を出しておもちゃにしようとするわけではなかったので、自分たちとは別の生き物というくくりにはしなかったのか?それでも、大人の猫対猫ならば間違いなく敵襲来!とばかりに唸って威嚇するところを威嚇するでもなかったので、あの小さな生き物に対して「猫」という認識をしたのかどうかも微妙である。
 あるいは、あまりに小さな猫だったので、どう対処してよいのか途方に暮れて、無視。という態度をとったのか?

 だいたい、ふわりやあめやほたるが、私のことをどういう位置づけでみているのかも謎である。
 猫対猫の場合は明らかに敵視するのに、人間である私に対しては身内扱い。ここからして、謎ではないか?
 群れで暮らす犬ならば、人をリーダーとして見ているのかもしれないけれど、猫はなぜ人を身内と認めてくれるのだろう?ま、エサを与えてくれるヒトという生き物に懐いておけば食いっぱぐれがない、というDNAが、猫が家畜として飼いならされて以来綿々と受け継がれているのかもしれないが、それにしても・・・ねぇ。
 そういえば、治療などで動物病院に連れて行った時には、いつもとは違う場の緊張感に、先生や看護師さんを、何をされるのかわからない存在とみているようではある。診察台の上に乗せられた時には、私に助けを求めてくることがある。
 かと思えば、お客さまが来た時には、警戒心ゼロのふわりは自ら人に近づいていくものの、あめやほたるは、さっと逃げてしまう(その方が普通のネコとしての態度ですよね!)。その一方で、3匹とも突然私に甘えてくることがあるので、それを鑑みるとやはり私のことを特別な存在として認めてくれているのだろう。
 そういう私は私で、朝起きるとふとんのまわりに3匹が丸まって寝ているのを見て、「家族っていいなぁ〜!」などと思ったりしている。
 むむ!もしや私が猫化しているのか!?

 とりあえず小さな迷子の子猫ちゃんは、親猫がいると思われる方へ誘導してあげた。
 人と猫、猫と猫との不思議な関係は続く・・・。