風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

1/fゆらぎ の 光と風

 猛暑続きの先週、体力の限界ぎりぎりのところでパンを焼いていたのだが(睡眠時間2時間で、39℃の工房内で倒れなかった自分は明らかに人間を超えたと思う)、それで暑さに慣れたからなのか、今日は涼しいんじゃない?と思って休日の母屋の温度計を見ると、30℃を3度くらいは超えていて、自分の熱さに対する耐久性が変わったことを知った。
 そう言えば、会津に住んでいる時も、豪雪地帯のその地では真冬の最低気温が零下になることが日常的で、最高気温が1℃などという日も普通だったのだが、関東に住んでいる時には最高気温が10℃以下になると寒い〜!と感じていたものが、会津に住んでいる間に5度以下になって初めて、今日は寒いですね、となり、寒さに対する体感の基準が変わっていった。
 とはいえ、あらためて真岡に戻って冬を過ごしてみると、なんと!冬は豪雪地帯の奥会津よりも真岡の方が寒いのだ。いや、気温はもちろん、会津の方が低くなるのだが、体感温度が違うということに気がついた。
 会津に引越した頃、

 雪は降るけど 風はあまり吹かないから
 そんなに寒くはないんだよ

と教えてもらって、へぇ。そうなの?と思いつつ冬を迎えたところ、確かに雪に埋もれていても(長時間外にいなければ)それほど寒いとは感じなかった。ちなみに、雪の日に外に出る時は、雪片しをするためということがほとんどなので、寒いどころではなく、汗をかいて暑くなる。一方で、雪まつりなどのイベントで一日中外で立たなければならない時には、足元から冷えてきて凍え死にそうなくらいになった。今になれば、それも、とてもいい経験だった。
 それよりも何よりも、真岡の冬の底冷え感のほうが半端なく寒く感じた。寒さの感じ方も、湿度が関係しているのだろうか?と考えたりしたのだが、どうなんだろう。
 寒さの方はさておき、今週になってなんとなく涼しく感じるようになったのは、湿度が少し下がってきたからなのか?とも思う。
 今週末の8日は、立秋立秋が近づくと、光の加減や風のにおいが急に秋っぽくなるから、不思議だ。





 写真教室で教えてもらったことの一つに、写真は光を写すもの、ということがある。
 撮るものをフレーミングした時に、いちばん撮りたいと思った部分に最適の明るさの光があるようにすること。
 そのことを教えてもらった後に、意識して景色を見るようにしていたら、風景の見え方がだんだんと変わってきた。美しい光が射している部分がよく目につくようになって、カメラを持っていなくても、

 あ あの光 きれいだな
 写真に撮りたいな

と思いながら、景色を見ていることがある。
 カメラには被写界深度というのがあり、望遠になればなるほど、遠景がぼける。でも、人間の目は、近景も遠景も均等にぼけずに見えるところがすごい。それと同時に、意識するしないに関わらず、自分が欲しいと思う情報だけを抜きとって見ていたりする。
 それは、音(耳)も同じだ。
 蝉の声、草の緑、ちいさな花の色や形・・・

 炎天下の暑い中、エアコンのないパン工房にわざわざ足を運んで下さるお客さまと話していると、

 ああ〜
 風が気持ちいい・・・
 ここは 本当に
 いい風が吹きますね

という話になることがある。
 雑草が芝生のようになった小さな庭の間を、涼やかな風が吹く。
 それは、エアコンでは作りだせない、心まで癒す1/fのゆらぎの風のような気がする。