雨上がり。
金木犀が満開になってから、もう1週間になるだろうか?
その間、雨の日もあって、いっとき香りも薄らいできたと思いきや、雨が上がった今日になってまた甘〜い香りが濃厚になった。見てみれば、何日間の雨にもかかわらず、小さな花はまだほとんど枝についたまま。
星屑のように小さなこの花のどこに、そんなパワーが秘められているんだろう?
今日も、金木犀の甘やかな香りがこの庭を、天使のいる天国のような色合いに染めてくれていた(あくまで幻想
夜になると雲が晴れ、夕食時、東側の台所のガラス戸越しに月の明るい光が現れ、中秋の名月を見ることができた。
先日、私がパンを作り続けていく上で、秘かに心の支えにしていた大切な方が、急逝してしまった。
それより1週間前にお会いしたばかりだったので、突然の訃報がまだ信じられないでいる。
人を信頼して仕事を任せること、小さな失敗に細かいことを言わず、その人の才能を伸ばすこと・・・そんなことを、さりげないやり方で教えていただいた。
またあなたとお話したいわ、と何度も言っていただいていて、土祭が終わって落ち着いたら、都合をつけて会いに行くつもりでいたのに。
美しい9月の日に、愛する人の元へと旅立ってしまった。
1年という短い間でしか関われなかったことが、残念で仕方がない。
私はこれからもきっと、パンを作る時には心のどこかで、その方に食べていただくことを思い描きながら作っているだろう。
ご冥福をお祈りいたします。