風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

続く・・・

 洗濯物を干しに庭に出て、ふと、

 そう言えば
 早くも葉が伸びていた水仙は
 蕾をつけたのだろうか?

と、今年はすでに12月に葉を伸ばし始めたニホンスイセンのことを思い出した。
 いつもは、年を越してほんのりと初春の暖かさを感じる頃に葉を伸ばす水仙が、今年は11月まで暖かい日が続いたせいなのか、年内に早くも葉が伸びているのに気づいたのだが、まわりの雑草の緑に紛れて、その後水仙のことをすっかり忘れていたのだ。
 で、どれどれと見に行ってみると、

 おお~!
 蕾がある!!


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 今のところ1本だけだが、花芽が出ていた!
 嬉しい!!
 この水仙、植えてからかれこれ4~5年になると思うのだが、花が咲いている球根を植えたにもかかわらず、その後は毎年葉が伸びるだけで花が咲いたことは一度もなかった。


 白くて小さなニホンスイセンの、甘やかな香りが好きだ。
 海岸線に咲くスイセンが見たくて、寝台車に乗って越前海岸に旅したこともある。
 そう言えば、伊豆急行で、爪木崎のスイセンも見に行ったなぁ。
 この庭で、ニホンスイセンが増えて、春先にその甘い香りが漂うことを空想しながら球根を植えたのだ。
 ようやくその一歩が叶いそうになってきた。


 鉢植えのミニシクラメンにも、今までになく たくさんの花が咲いた。


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 今月の初め頃、2度目に来店してくれたお客さまから、

 (パン屋さんを)続けてくださいね
 固いパンを売っているお店を
 ようやく 見つけた!

と言っていただいた。
 この2~3か月くらいの間に、ハード系のパンを探して来店してくれたお客さまが不思議と続いたのだが、私自身、パンを作り始めたきっかけが、自分が食べたいと思うようなハード系のパンを売っているお店が近くにないので、それならば自分で作るしかない!と軽い気持ちで試してみたことだった。
 作ってみる際に、どのイースト(または「天然酵母」)を使うかなどあれこれ調べてみて、結果として選んだのが自家製酵母(自分の身近にある酵母を自然のままに培養してパンの元種を作る)。それがあまりにも自分の思考&嗜好にぴったりと合ったために、パン作りに・・・というより発酵にはまり、自家製酵母で初めてパンを作った日から2週間後には、

 パン屋になる!

と決心していた。
 もともと、「生物」の授業がいちばん好きだったものの、物理や化学や数学は全く苦手で、自分は理系の頭ではないと、受験の時点でそちら方面に進学することは諦めてしまったのだけれど、ぼんやりと思い浮かべる自分が仕事をしている場所は、研究室で顕微鏡をのぞいている、という風景だった。
 たくさんの紆余曲折を経た中に、そういう場に行きつくことは一度もなかったが、最終的にたどり着いた自家製酵母の小さなパン工房はまさに、(顕微鏡こそないが)そういう仕事場ではないか。
 ちなみにパンは子供の頃から好きだったのに、パン屋になりたいと思ったことは一度もない。その代わりというのでもないが、ジャムを作ることは好きで、自分が作るジャムはどんな有名なメーカーのジャムよりおいしい!という自信が持てたので(ただの自己満足)、会津に住んでいる頃には秘かに、ジャム屋になりたいと思っていた。
 ただ、ジャムだけで生計を立てることは難しいだろうなぁと想像ができたので、それにプラスできることはないだろうか?と探しているうちに自家製酵母のパンと巡り合い、「パン」というアイテムを軸に、自分がやりたいと思っていたことがまとめてできる(ジャム、パン、生物、はたまた小さな食育)!と気づき、

 パン屋になる!

と速攻で決心したのだった。
 振り返ってみれば、決心のあともなんだかんだの紆余曲折を経たのち、実家に戻ってパン工房を始められたのは、たくさんの人との出会いによるところが大きい。これまで関わっていただいた皆さま、本当にありがとうございました。
 
 ということで、来年の2月にはなんと!パン屋開店から丸5年となる。ほぼ独学のみで開店した私が、パン屋歴5年と申し述べるのはあまりにも気恥ずかしいのだが、開店したパン屋が5年後には半分になるというパン屋業界、弱小ながらも6年目もこのまま「自家製酵母のパン工房」を続ける所存でございます。
 来年も何卒よろしくお願い申し上げます。