仕事日明けの月曜日。
今朝は11時半まで寝て、久しぶりに布団で連続7時間半の睡眠の幸福感を抱きつつ、起きた。
外はどんよりとした曇り空。家の中は薄暗い。
遅い朝食・・・というよりブランチに、蒸し鶏とチーズとわさび菜のサンドイッチとカフェオレ(カフェラテではなく)を作って、茶の間でのんびり頬張ばる。
日曜日の深夜、1時過ぎに起きるつもりで茶の間で毛布をかぶって仮眠してハッと目が覚めたら、4時半だった。
1時間で起きるつもりが、3時間寝てしまった。
それでもそれから、生地の仕込みを猛烈な勢いで終わらせて、パンを焼いて、開店した。
3日間はそんな緊張感の中で仕事をしているので、深夜に無理やり起きなくてもいい月曜日の朝の開放感は何物にも代えがたいのだ。
午後になると天気予報通り、曇り空が雨になった。
酵母のお世話をして、郵便局で用事を済ませてから、包装用品を買いに出たのは3時過ぎ。
ついでに、益子町のとん太ファミリーまで行って、ベーコンとソーセージも買ってきた。
雨はにわか雨のような小雨が降っただけで、間もなく止んだ。
帰り道、信号待ちで止まった先の景色をぼんやりと眺めたら、雑木林の上に広がる空の色が、紫がかったグレーに続いてオレンジのグラデーション。きれいだなぁと見つめながら信号が変わって左折したら、目の前に夕陽が見えた。
さらに、空だけではなく、雨上がりの水蒸気が空中に立ち込め、空気までが淡いオレンジ色に染まっている。
カメラを持って出なかったので写真は撮れなかったが、カメラを持っていたとしても、きっと、写真を撮ろうとは思わなかっただろう。
その景色や空気の色は、その中にいなければわからないような、カメラでは写し取れない情景だった。
この色、何て言えばいいのだろう?
朱鷺(とき)色?淡い朱鷺色?
それとも 茜(あかね)色?
いや やっぱり この淡いオレンジは
朱鷺色かな・・・
空のグラデーションは、いかにも着物の裾模様に使われていそうな配色になっている。
自分が今住んでいるのは、関東平野の隅っこなので、地平線が低い。(なので、空が広い)
そのために美しい夕焼け空を見ることができる。
ということに、会津の山間の町に住んだ時に気がついた。
ずっと昔 ここに住んでいた人たちも
こんな風景を見て その色を着物に再現しようと思ったのだろうな・・・
真岡市の「もおか」の語源の一つに、アイヌ語のマオカ(=風の吹きつける場所)が訛ったもの、という説がある。
空気までオレンジ色に染まった景色の中で、荒涼とした地だった頃を想像してみる。
古(いにしえ)に思いを馳せたくなるような・・・今日の夕刻は、不思議な時間の流れる黄昏時だった。
そういえば・・・と、思い出した。
会津に住んでいる頃に、紅葉の季節にドライブに行った米沢から裏磐梯に抜けるスカイバレーを走っていた時にも、こんな色の景色を見た。
山々が連なる1000mを超える峠から裏磐梯向かって降りていく時に、夕陽が一面に差して、神々しいまでの色合いに輝いていた。
その景色を見た時の、
天地創造の瞬間を見ているみたいだ・・・
という強烈な印象と感動とともに、今でもその光景をはっきりと覚えている。
逢魔が時(おうまがどき)という言葉も思い出したが、怪しいものに出会う時ではなくて、もっと神聖なものが降りてくる時間がそこにあった。
今日のその一刻の中にも。