風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

あらためて、パンのご案内

 先週いらした小さな子ども連れのお客さまから、

 イーストの販売は
 していませんよね?
 どこにいっても
 売っていなくて・・・

と尋ねられた。
 ゴールデンウィークの最中、今年は「おうちにいよう」という事態になって、この機会にとパン作りに挑戦している人が増えているのか、スーパーでイーストが売り切れになっているらしいのだ。


 そんなこともあったので、あらためて説明いたしますと、ここで作っているパンは、すべて自家培養したパンの元種を使って発酵させているので、いわゆる市販のイーストは使っていない。
 元種もイーストも、酵母が元になっているので、そういう意味では同じものなのだけれど、市販のドライイーストや天然酵母という名前がつけられてパッケージされたものは、選抜された1種類の酵母を科学的に純粋培養したものに、酵母のエサとなるものを添加して、安定してパンが作れるように調整してある。
 一方で、自家培養したパンの元種は、小麦粉を自然な状態で発酵させているので、種々雑多な菌が入り交じった中で、酵母がいちばん優位に立っている、という状態になっている。それ故に、膨らみは悪いけれど、小麦粉の風味が残った複雑な味わいと適度な噛み応えのあるパンになる。
 さらに、たくさんの菌が働くことにより日持ちがよくなり、時間が経つにつれて味が微妙に変わっていく。
 (とはいえ、通常は常温で1週間は日持ちしますが、気温が上がってくるとカビが出やすくなるため、5月~9月は冷蔵庫で保存してくださいね)


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 ちなみに自家培養のパンの元種は、営業日に元気に働いてもらえるように、毎日のお世話が欠かせない。



 もう一つ、インスタグラムのほうから、定番のパンを教えてください、という問い合わせがあったので、そちらの方も記載しておく。


 ・バンズ ・・・全粒粉20%と小麦粉、元種、少しの塩と砂糖のみで作った、小麦粉の味がいちばんよくわかるプレーンな丸パン

 ・パン オ ルヴァン ・・・バンズと同じ生地を大きめに焼いた食事パン

 ・カンパーニュ ・・・全粒粉とライ麦粉を10%ずつ入れた、ハード系の食事パン

 ・プチカンパーニュ  ・・・カンパーニュの生地にクリームチーズとイチジクを入れた、ハード系の小さめのパン

 ・ライ麦パン ・・・ライ麦粉20%入りのハード系の食事パン

 ・ナッツ入りライ麦パン ・・・ライ麦パンの生地に、くるみなどのナッツを入れたハード系のパン

 ・食パン ・・・バターと牛乳を加えた生地で、トーストすると外側がパリッと、中はふんわり。今流行りの生食パンではなく、適度なかみ応えのある食パンですが、ミミまで美味しい。

 ・バターロール ・・・基本の生地に、バターと牛乳を加えた、柔らかめのテーブルパン

 ・菓子パン ・・・バターロール生地に、レーズン、あんず、クランベリー、オレンジピールなどのドライフルーツやナッツなどを組み合わせて入れています

 ・あんパン ・・・バターロール生地に、自家製の粒あん入り

 ・季節のパン ・・・桜あんパン、よもぎあんパン、よもぎバターロール、いちご&ミルク、アップルロールなど、旬の素材をいかしたパンも季節ごとに作っています


 小麦粉は、栃木県産、北海道産。
 ライ麦粉は、北海道産。(収量が少ないため、品切れになった場合は、カナダ産などを使うことがあります)
 砂糖は、種子島の洗双糖。塩は、新潟のミネラル工房の自然塩。
 ドライフルーツは、オイルコーティングや漂白剤などの添加物を使っていないものを選んでいます。
 オレンジピールは、国産の柑橘類(バレンシアオレンジ、三宝柑など)で手作り。
 セミドライストロベリーも、真岡のいちごを使って手作り。
 小豆、いんげん豆は、北海道産。


 会津の山奥に住んでいた時に、自分が食べたいと思うようなパンを近くで売っていなかったので、それなら自分で作ってみようと思い立ったのが、このパン屋の出発点。
 自分はどんなパンを食べたいのか?とあらためて考えた時に、その答えは「適度にかみ応えがあって、粉の味がよくわかるパン」だった。
 それはたぶん、できる限り昔ながらの自然な形で小麦粉を発酵させるという方法で作ったパンだろうと思い至り、それが今、工房で作っているパンに繋がっている。
 なので、見た目は小さいが、小麦粉がぎゅっと詰め込まれている。


 そう言えば、先々週来てくれたお客さまから、

 家族全員が
 ここのパンがいちばんおいしい と言ってます!

と教えていただいた。
 そんな一言で、私はこれからも頑張ってパン屋を続けていこうと思えるのです。
 どうもありがとう!