前回に続き、鳥ネタである。
先週の金曜日の朝。
深夜2時頃から始めたパン生地の仕込みが終わり、自宅に戻ってお風呂に入って、15分ほど布団に寝て起きた時のこと。
カッコー カッコー
と、鳥の鳴く声がした。
鳴き声からして、カッコウだ。
しかし今の今まで、子どもの頃も含めて、実家にいてカッコウの声を聞いた記憶がない。
ここは、地方の中都市の市街地だし、子どもの頃も開発途中の住宅地で、少し離れたところに雑木林はあれど高原のような場所ではなく、いわゆる里山というか、もともとは笹ヤブだった荒れ地に近い土地なのだ。
本当に カッコー
って鳴いてるよな?
寝ぼけた頭で幻聴を聞いているわけではあるまい。布団から起き出して、あらめて耳を澄ませてみると、
カッコー カッコー カッコー
確かに、カッコーと鳴いている。
ええ~!?
いつからここは避暑地になったんだ?
本当にカッコウが鳴いているのか?(よもや、ここは自分の家で間違いはないよな)と、それでも疑念が拭いきれず、ガラス戸を開けてさらに耳を澄ませてみる。
すると、北側の高校の庭のほうから聞こえてきたと思われた鳥の声が、南側の民家の方から聞こえてくるではないか。
え?
まさか 時計??
どこかで 時計が壊れて
カッコー が止まらなくなったとか???
しかし、よくよく考えてみたら、鳥が出てきて鳴く時計は鳩時計ではないか!
違う違う!
時計はカッコーじゃないし(笑)
民家の方から聞こえてくるように聞こえたのは、反射してそのように聞こえているだけのようだ。
しかし、ここまで来ても、本当にカッコウが近くにいるのか、にわかには信じがたかった。
私の中ではカッコウ=高原、白樺とか、林のある、避暑地・・・というイメージで繋がっているので、それと今自分が住んでいる場所は全く結びつかないのだ。
狐につままれたような気持ちのまま工房に戻り、生地の分割成形、二次発酵、焼成と、営業日の仕事をこなしているうちに、カッコウの声はしなくなってその日が終わり、次の日。 またもや、
カッコー カッコー
と鳴く声が聞こえた。
次の日も、また、カッコウが鳴いた。
そして、昨日も、今日も、カッコウの声が聞こえた。
カッコウが いる
確かに 近所に
ようやく、確信した。
それで、あらためてカッコウのことを調べてみると、そういえばホトトギスやヨシキリなどの巣に卵を産んで他の鳥に抱卵させるという、托卵をする鳥だということを思い出した。
ホトトギスがこのへんにいるのかどうか、鳥に詳しくないのでわからない。
高校の庭の木に巣をかけている鳥でわかっているのは、コノハズクだけだ。
まさか コノハズクの巣に
卵を産まないよなぁ・・・
想像してみる。
コノハズクがホトトギスの卵を孵しているところを。
コノハズクが抱卵したら
大きすぎるだろ!
ヒナを潰しちゃうって!!
ま、ありえないな。
それにしても、どこから来たのだろう。
少し近いところで昨年、道を作るために雑木林が拓かれてしまったのだけれど、そこにいたカッコウかな?
カッコー カッコー
という鳴き声をあらためて聞いていると、どこかのんびりとした高原の時間を紡いでいるようで、それはそれで、違う時を刻む時計のようにも思えてきた。
そう言えば、もう一つ思い出したが、1週間くらい前に、
ヒューイッ ヒューイッ
という鳥の声を聞いた。
鳥に詳しい人に聞いてみたら、トラツグミではないか?という答えが返ってきたので、検索してみたら、トラツグミの別名は「鵺(ぬえ)」とあり、平安時代の妖怪ちっくな名前があの鳴き声にはぴったりくるなぁと思ったり。
トラツグミらしき鳴き声は、その時一度きりしか聞くことはなかったのだけれど、それ以外にも、今まで聞かないような鳥の鳴き声が最近よく聞こえてくる気がしている。鳥の姿が確認できないうえに、鳥自体に詳しくないので、本当のところはよくわからないままなのだが。
確かなことはただ一つ。
鳥が鳴く時計は、カッコーではなく、鳩時計!