風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

渡良瀬遊水池 小さな旅の壮大な風景

 年内の営業を終えて、冬休みの2日目。
 歯科の予約があって出かけたついでに、渡良瀬遊水池に三度(みたび)のアクセスを試みた。
 今までに、2回、彼の地へ向かったものの、曲がるポイントを間違えて、意図したところには行き着けていないのだ。
 先の2回で、曲がるべき交差点はわかったので、今日はそこを曲がって、とりあえず野木町煉瓦窯を目指す。
 せっかくなので、煉瓦窯を見学してから、その道の先に向かうと、いきなり車一台が通るのも難しそうな細い道になっているので、

 あれ?違ったかな??

と、案内板があるところまで戻って確かめても、このまま進んで良いように思われる。しかし、道は人が歩いて通るくらいの細い道。行ってもいいものか悩んでいると、何と向こう側から車が出てきた。
 どうも、あの狭い道を行ってもいいらしい。(しかし、対向車が来ても絶対すれ違えない)
 意を決して恐る恐る道を行くと、小さな坂を下りたすぐのところに、コの字を横に倒したようなゲートが2本、立てられてあった。ゲートとゲートの間の幅は、軽自動車がギリギリ通れるかなぁ~くらいの狭さ。

 ここ、擦らずに通れるのか?
 っていうか、これは通ってはいけないということなのでは?
 (しかし、さっきの車はここから来たはず・・・)

 迷った末に、先に進んでもっと狭いゲートが出てきてもなぁと不安になり、手前の空き地で車を転回させようとしていると、私が来た方向から軽トラが下りてきて、迷いもせずにゲートをすり抜けていくのだった。(しかも、軽トラを運転していた女性が、私を見ながら、迷わなくても このゲートを抜けて 入っていいんですよ という顔をしていた)
 それで、事を了解し、私もゲートをすり抜けて中に進む。
 ススキに囲まれた狭い道を、幾ばくかの不安を抱えながら、さらにいくつかのゲートをすり抜けて突き進んでいったら、突然、思いがけない風景が目の前に現れた。
 視界が開け、180度の地平線とススキ野原と湿地の水辺の上に、雪を頂いた山並みが連綿と繋がっているではないか。
 日光連山(栃木県)から赤城山妙義山と思われる群馬の山々、そして富士山(山梨県)まで!一連なりで、ぐるりと見渡せるのだ。
 思わずカメラを取り出して写真を撮ったけれど、その景色の壮大さは、私の腕で撮りきれるはずもなかった。






 その先の道も、ススキに囲まれた道や狭い道、ゲートが所々に続くような道だった。
 見学した煉瓦窯の記念館にあった渡良瀬遊水池の案内コーナーで、渡良瀬遊水池の規模は山手線の下半分(山手線の線路に囲まれた内側の、新宿駅と東京駅を結んだ線の下側部分)と同じ面積、と書かれていたことが、実感としてわかった。
 山並みに見とれていた時に、たまたま話しかけられた地元のおじさんと思われる方に、この先の道の状況を聞いていなかったら、迷い込んで遊水池の外に出られなかったかもしれない。
 だいたい、自分が勝手に想像していた渡良瀬遊水池の景色は思い違いだったのでは?という疑念とともに、結局今日も、この地の全容はわからないままだ。
 考えてみれば、山の中腹や山頂から見渡す山々・・・とは違い、地平線上に連なる山並みを同じ目線で見渡せるのは、関東平野だからこそ、とも言える。
 それほど広くて、想像もしなかった風景がこんなところにあったんだ!という感動に引き寄せられるように、きっとまた、ここに車を走らせる日が来るに違いない。