猛暑続きの夏から草刈りがままならないまま雑草が伸び放題となり、そうこうするうちに秋が来て、さらに冬の入口というかすでに年末が目の前になった先週の火曜日、自分の手には負えなくなった果てに、Kさんに草刈りをお願いすることにした。
Kさんとは、私が真岡の実家に戻ってきてからひょんなきっかけで縁があり、何度か作業をしてもらっている。
これまで作業してもらった延べ日数は結構あったはずなのに、いったいどんな経歴の人なのかを聞く機会がなく、今一つそこが謎だったので、今年になってやや掘り下げて聞いてみたところ、植木関係のことは子供の頃に植木職人だったおじいさんの手伝いをして覚えたのだとか。
実際、背の高い木の剪定をする時には脚立をかけて木に登ってのこぎりでさっさと枝を落としていくKさんの仕事ぶりは、驚くほど速い。
で、今回は、ドウダンツツジの剪定と、笹だらけになってしまった工房まわりの草刈りをやってもらった。
私ももちろん、刈った後の草を庭の隅に運ぶ手伝いをした。夏の間、一人でやっていた時にはいい加減に庭の縁に積んでいた草を、今回は鍬で天地返しをしたのち、上にのぼって足で踏み潰し、容積を小さくした。(が、また草を積んだので、高さはあまり変わっていない…)
そんな中、お昼休憩の後に草刈りを始める前に一つ、Kさんに、ネコヤナギの木の根元を切ってもらうように頼んだ。
ぶどうを植えたすぐ隣に立っていたネコヤナギの木を、今年の春、別の場所に移植したのだが、そのネコヤナギの根が相当弱っていて、植え替えた先で自立できなくなってしまっていた。一応私がフェンスとコブシの木と物干し台の支柱の3ヶ所にひもで結んで一時立たせていたのだけれど、台風やらの大風で何度か倒されたらもう立てなくなり、半年近く倒れたままになってしまったところ、根元近くから脇枝が上に伸びてきてそれが元気な様子だったために、立たないならもう根元で切って、今生えてきている脇枝を上に伸ばした方がいいのでは?という考えに思い至り、Kさんにその旨を説明したら、
どこで切るって?
そんなことしなくても
ここを切れば 立つでしょ
と言って、3本上に伸びている枝の1本をのこぎりで切り落として地面に立てて、切り落とした枝で根元を支えたら、なんと!あっけなく直立したではないか!!
えっ!?
ほんとに 立ってる?
と触ってみたら、ぐらつくことなく、本当に自立している。
それを、ほんの1本の紐だけで結んで支えたら、背の高いネコヤナギの木が、グラグラと危なげになることなくしっかりと地面に落ち着いたので、
ええ~!?
すげー
さすが プロ!!
と思わず声を上げたら、
やり方があるんだよ
と、Kさんはクールに笑ったのだった。
その日1日、ほとんど休憩も取らずに草刈りをしてもらい、かなりの部分の笹がなくなって、庭はすっきりときれいになった。
その仕事ぶりも感動的だったのだけれど、私には、ネコヤナギの枝を1本切っただけで直立させたKさんの技が手品のように見えて、まるでイリュージョンでも見たかのように大感激。
ネコヤナギにはすでに大きな花芽がつき、来年の春を待っている。
早春の、まだ花がほとんど咲かない時期に花をつけるネコヤナギには、ミツバチが盛んに集まってきていた。再び根を張り、春先の蜜源となるべく、復活してくれますように。