昨日の夕方、ベランダの石畳にカブトムシ(メス)がひっくり返っていたのを見つけた。
何の障害物もないここで、どうして転んだのか?と不思議に思いながら起こしてみると、体は土で汚れ、甲虫本来の輝きを失い、どこかに打ちつけたのか羽には凹んでいるところもある。
弱りきっているようなのに、でも、私がちょんと触ってみると逃げ足は意外に早く、ベランダの端に向かって歩き出す。
しかし、進んでいくベランダのその先は、まだまだ長い草むらだ。草むらに紛れ込んだら、木にたどり着けるかわからない。
と、カブトムシが心配になり、そっとつかんでコナラの木まで運んであげた。
ところが今日の夕方、酵母のお世話を終えて工房から自宅に戻ってきたところで、ベランダ下の飛び石の上にそれと同一個体と思われるカブトムシが、またもや いた!
1日の間、どこをどう歩いてここまで戻ってきたのか?
昨日と同じくらいの時刻に、同じような場所で・・・私にお別れの挨拶にでも来たのか?
それとも 何かの恩返し?
いやいや そう考えてしまう強欲ばあさんには 幸運のつづらは回ってこないぞ
などと思いつつ、
ああ このカブトムシも
近いうちに 命を全うするのだろうな
と思いながら見てしまった。
昨日は、カブトムシ独特のにおいがしていたけれど、今日はもう、そんなにおいもしていない。
カブトムシのまわりにはアリが、まるで、お祭りが始まる前のざわめきに誘われるように、2匹3匹・・・と集まってきている。
夜になる頃には、このカブトムシにアリの葬列が組まれるのだろうか。
・・・余談だが、以前勝手口の前でゴ×××がアリに運ばれていくのを見たことがあるのだが、あんな大きいものをよく運ぶなぁと感心しつつ、ふと思った。
あの大きさの獲物を、どうやって巣穴に入れるのだろう?まさかそのまま、穴の中に強引に引き入れるとは思えない。
運んだはいいが、穴の前でアリたちが考え込む、という図を想像して心の中で笑ったのだが、たぶん巣穴の近くで解体してから中に入れるのだろうね。
それはともかく、この庭の中で、様々な生き物が循環している、その中に自分も一個の生き物として存在したい、というのが私の密かな願いだ。