自分が住んでいる母屋は私の実家で、築54年。
昭和の日本家屋なので、断熱材など入っていない、ガラス戸に囲まれたすきま風の通りすぎる場所である。
昔の住居の特徴で、障子と襖で部屋が仕切られているので、開け放すと一つの空間になり、ガラス戸を開ければ一応空気が家の中を吹き抜けていくようにできている。とはいえ、外気と入れ替わるだけなので、夏は暑いことに変わりはない。
子供の頃はエアコンなどというものがなかったので、夏は扇風機で過ごすのが当たり前だった。
エアコンが世の中に登場した後も、実家ではずっと扇風機だけで過ごしていた。私自身、東京に住んでいた時でさえ、エアコンのある生活をしたことがない。あの冷気と、外気との温度差が苦手なのだ。
その後この実家には、祖母が施設に入る時に余ったエアコンを茶の間につけたものの、両親も使ったことはほとんどなかったようだ。実際、私が実家に帰省した時にエアコンをつけた記憶もない。いつも、扇風機だけを回していた。私も妹も、それに何の違和感も不便も感じたことはなく、不満をもらしたこともない。家族みんながエアコンが苦手ということもあるし、夏はそうして過ごすものだと思っているところがあった。だいたい、日本家屋に住んでいたら、夏に部屋を閉め切るという閉塞感に耐えられないのだ。
ということで、私が一人で住まうことになった今でも、夏は扇風機のみで、エアコンが稼働したことはない。はたから見れば、宝の持ち腐れに見えるかもしれない。というよりももう、長年使わずにいるエアコンは壊れたも同然の状態になっているだろう。
さて、話はパン工房のことになるが、工房は2×4工法で作っていて、パネルの中に断熱材を入れている。
2月の大雪の日に開店した頃には、石油ストーブとガスオーブンをつけると比較的すぐに温まり、温まってしまえばその暖かさを持続してくれるらしく、かなり快適に過ごせた。すきまだらけの広い日本家屋よりも快適で、もうこのままここで寝ちゃったほうが光熱費節約できていいよな〜と思ったくらいだ。(さすがにそれはしていません(笑)
5月になり、気温が急に上がるようになって初夏の陽気になってきたら、その暖かさが持続したまま工房の室温がかなり上がるようになってきた。まだ外が涼しいからいいが、これから真夏に向けてどうしたものかと悩むところだ。
実際もう、室温が高くなりすぎてパン生地がだれるようになり、生地の成型が難しくなってきている。先週末はバターロールがうまく成型できなくなったので、ただの丸パン「バターボール」に切り替えた。
はてさて、工房にはエアコンをつけたほうがいいのか?
まあ、単純に考えれば、とりあえずエアコンつけておきましょうよ、ということになるだろう。まず、自分よりも、パン生地や酵母のほうが気になるし、お客さまのこともある。
そんななか・・・
昨日の最後の最後に、親戚の繋がりで知っている元看護婦さんがパンを買いに来てくださった。いとこから私がパン屋を始めたことを知り、その日はわざわざここにくるだけのために出かけて来てくれたと聞き、感謝の気持ちでいっぱいになった。
私よりも20歳は年上のその方は、看護婦を辞めた後もアクティブにいろいろなことをしているらしく、その話を聞いているだけでも、元気をもらった。で、1時間以上も話し込んでいるうちに、その方が住んでいるところが山の中で、夏でもエアコンがいらないという話になったので、
エアコンなしで過ごせるなんて
いいですね〜!
この工房にも エアコンをつけないといけないのかなぁ〜
と 悩むところで・・・
と私が言ったところ、
扇風機でいいじゃない
と、即答された。
自分ではそれで十分なのですけどね。どうしたものだか・・・といまだ様子見の気持ちでいたが、今日このような記事を読んで、やっぱりエアコンなんていらない!と気持ちが切り替わった。
では、エアコンはいらない!とするなら、どうやって夏を乗り切りましょう?
まずは工房の裏口のところに、網戸をつけたい。風がたくさん入ってくるように。