風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

相棒

 昨日・・・というより、今日の夜明け前に仕込みを終えたのち、午前5時前後にようやく布団に入って寝るのだが、その後間違いがなければ(目が覚めて、はっ!ヤバい!!という気持ちにならなければたぶん)7時過ぎには起きて、朝は8時頃から仕事を始めるのだけれど、起きてから最初にやる仕事は、工房に行って魔法の青い箱を開けること。
 以前ブログにも書いたが、魔法の青い箱というのは、パン屋を始める前にパン作りの先輩から頂いた保温保冷箱(よくよく見たら、箱にステッカーが貼ってあって、象印の「フレッシュ コンテナ」と書いてあった!)。これにこねたパン生地を入れた容器と、お湯を入れた容器を入れて一次発酵をさせているのだが、最近はその使い方(=容器の詰め方やお湯の温度で発酵具合を調整する)のコツがかなり的確につかめるようになった。
 なんせ、生地の仕込には4時間ほどかかるので、すべての生地をこね終わった時には、最初にこねた生地と最後にこねた生地とでは4時間近くの時間差が生じている。生地の性質、あるいは捏ね上げ時の生地の温度やその後の温め方でも発酵の速度に違いが出るので、すべての生地の仕込を終えた時点の生地の状態の差を、数時間後に作業を始める時にはほぼ同じ具合に一次発酵が終わった状態に揃えるように(さらにできれば、分割成形を最後にする生地は、完全に発酵が完了せずに、朝仕事を始める時点では9分目くらいの発酵具合になっていて、先に分割をしている生地の扱いが完了するころに一次発酵がちょうどよくなっているという状態になっているとベスト)、生地の容器の詰め方や、お湯の温度や、お湯を入れた容器の置き場所などで微調整するという技をつかんだのである。
 とはいえ、温度計を使って生地の捏ね上げ温度をはかったりお湯の温度を測るわけではなく、あくまで自分の手や指の感覚に頼るという究極のアナログ方式なので、朝ふたを開ける時にはいつでも緊張感と期待感でドキドキとしている。で、ふたを開けて生地を確かめた瞬間、

 よっしゃ〜!

ってな具合に一次発酵がいい具合に到達してくれていると、その日は気持ちよくスタートできる、ということなのね。

 とりあえず、生地が最速4時間で1次発酵が終わる、という状態であれば、その酵母はよい状態をキープしている。
 元種の見た目でも、元気か弱っているか、あるいは、パンに向いている酵母が増えてくれているか、ということがわかる。
 人間の肉眼では見ることのできない酵母だけれど、そんなふうに「わかる」ようになってくると、仕事の相棒(ビジネスパートナー)という感覚が強くなってくる。
 実は、10月の終わりに起こした酵母が、あまりいいにおいがしなくなって様子がいまいちだった。なので、先週から新しい酵母を起こしていたのだが、これがまたびみょーに危うい感じだった。よくできているのか、よろしくないのか、判断がつきかねる状態のままパン生地をこねて今日のパンを作ってみたら、問題なく膨らんで味もいい。

 ということで、今日も無事にパンが作れました。
 酵母くん、ありがとう!