風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

10月の薔薇

 井頭公園内の直売所に野菜を買いに行った帰りがけ、バラ園に寄ってみた。
 注文している小麦粉の配達が来る前の時間に訪れたので、ゆっくりと散歩している余裕がなかったのは残念だったのだけれど、穏やかな秋晴れの日射しに誘われて、雑木林に囲まれた公園の空気を吸いたくなったのだ。
 グリーンセンター近くの駐車場に車を止め、とりあえずグリーンショップを覗いてみる。花が終わりかけたいろいろな種類のバラの苗とともに、色とりどりの花の苗が目にも鮮やかで、それを見るだけでも心が華やかな気分になる。

 それから、雑木林の間に作られた歩道を抜けて、バラ園へ。
 秋バラの最盛期が過ぎて、四方八方に枝を伸ばし放題になって手入れを待っているツルバラと対照的に、まだ秋を愉しむように名残りの花をつけている株もあって、広い園の中にそういう株がいくつかあれば、それなりの見応えになっていた。赤やピンク、オレンジ、黄色・・・まだ色あせずに咲いているものもあり、その中でほんのりと香りを漂わせているものもある。さすがに、家の庭の一株二株に二つ三つ返り咲いたのとは違って、バラ園の何百とある株の中のいくつかとなれば、香しい甘い匂いが空気を染めて、心をくすぐるのだ。

 ああ〜
 体中の空気が入れ替わる・・・

日々の雑用が多すぎて毎日が日常になってしまい、どこかへお出かけすることもなく、ほとんど同じところをぐるぐる回って終わってしまう1週間。
 この公園は日常のほんの一角なのだけれど、手つかずの雑木林が日常から私を開放して、細胞の一つ一つをリフレッシュしてくれる。
 
 見上げる高さの雑木林から差し込む光の道をたどり、その先の空を仰ぐ。
 懐かしい思い出。叶えないままの夢。忘れたはずの記憶。閉じ込めた想い。
 深呼吸すると、心の奥のどこかでふと、そんなものが再生する。