今日の天気予報が雨になっていたので、昨日の夕方のうちに生垣の草むしりをした。
生垣には、去年から石のすき間に生えてきた気になる草がある。気になるので取らずに残しているのだが、その草に今年は花が咲いた。
ピンク色の駄菓子のようなこの花は、ナワシロイチゴ。細かい棘のある細い枝と三つ葉に広がる葉っぱに見覚えがあり、もしかするとこれは・・・と、予想していたのだが、やっぱり予想通りだった。
子供の頃は、そこここでよく見かけたような気がするのに、いつの間にか目にすることがなくなってしまったこの植物には、このあと小さなつぶつぶの赤い実がつく。
この野イチゴを久しぶりに見たのは、会津に住んでいた時。もう、10年くらい前になるだろうか。
ブルーベリーのことでお世話になっていて、勝手に「師匠」と呼んでいたIさんのブルーベリー園の傍らで、のびのびと繁殖していた。それは、信州出身の師匠が実家近くで採取したものをブルーベリー園の片隅に植えたものだったのだけれど、花が咲いているのを見て、思わず、
ああ これ 知ってる!
懐かしい〜!
と言ってしまった。
師匠は単に「野イチゴ」と呼んでいたのだが、正式名称は何だったかな・・・と記憶を頼りに調べてみたところ、
そうだ!
これ ナワシロイチゴっていうんだった!
と思い出した。
と同時に、
そう言えば
うちのまわりでもよく見かけたのに
全然見なくなったよな〜
と、寂しい気持ちにもなった。
それが、どういう経緯で復活したのか?生垣のどこかで眠っていたものが、突然目を覚ましたわけでもあるまい。
それとも、毎年草むしりで刈られていたものが、ふとした拍子で枝を伸ばし始めたのか?
なぜ今になってこの生垣のすき間に生えてきたのか?
私にとっては、ちょっとした謎である。おかげで、タイムスリップして懐かしいものに会ったような気分でこの花を見た。
とにもかくにも、このまま大切に残していこう。
勝手口の前に植えたイブキジャコウソウにも、花が咲いた。
今まで何株も植えたのに、なかなか根がつかずに枯らしてしまっていたけれど、この場所が気に入ってくれたのか、ようやく1株根づいて増えてきた。
今まで花を咲かせても小さくて、花色も薄かったが、今年は鮮やかなピンク色の花がいくつも咲いている。
そのそばでは、スギゴケが庭を彩るように増えて、まるで緑色の海のよう。
ネコハギも、伸びてきた。
レディースマントルの上にも、雨粒が。
実家に戻ってきて、早5年目となった。
今まで、母が一人で手入れをしてきた庭。母は、毎日のように少しずつ草むしりをして、いつもきれいにしていたので、近所の人たちからは、「よく草むしりをしていましたよね〜」と、母の話をする時には必ずと言っていいほどその一言を聞かされる。
その庭を受け継いで、少しずつ私仕様に変えている最中なのだが、今年の庭にはいつになくパワーがあるような気がしている。私の植えた木や草が、去年までよりも明らかに元気になっている気がするのだ。
それはまた、自分のことにも当てはまる。どんなに仕事がたいへんでも、心を壊すことがなくなった(気がする)。今までなら心を病みそうな状況でも、この家と庭が私を支えてくれている。
雨の季節を目の前に、自分もまた一歩、この場所に根を張りつつあることを感じている。