風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

杏仁梅酒

 今日は休日ということで、夜中の仕込がないのをいいことに、夕食時に果実酒を飲んだ。
 我が家には自分で仕込んだ何種類かの果実酒があるのだが、一時期、漬け込んだ時の果物の美しさや出来上がるまでゆっくりと時間をかけて待つことが楽しくて、ひんぱんにあれこれ仕込んだことがあったため、私の手元には1年以上経った梅酒やプラム酒、甘夏酒、いちご酒などが何本もある。しかも、漬け込む本数>飲むスピードとなっているため、熟成を重ねたお酒がかなりの本数貯まっている。中には、いつの間にか10年以上経ったものもあって、ラベルに書かれた日付を見て、あの頃は・・・と、期せずして若かりし頃の自分に思いを馳せてしまうことも、たまにある(笑)
 何らかの機会に人にあげたりごちそうしたこともあって随分と減ってはきたものの、今でも十二分にストックがあることは間違いない。にもかかわらず、この時期になると梅酒を漬けたくなったり、甘夏ピールを作る時に食べきれなくなる実の部分で甘夏酒を仕込んでしまうため、たぶん一生のうちに飲む果実酒に困ることはないだろう。

 ・・・と、前置きが長くなったが、本日飲んだのは、杏仁梅酒。今まで作った果実酒の中でいちばんのお気に入りである。
 ある時、あんずや桃の種(の、仁の部分)で作る杏仁酒のことを知って作ってみたところ、これが得も言われぬいい香りがしてとても気に入ったのだけれど、いかんせん、種が原料となるため、大量には作れない。で、ある年ふと、梅酒と杏仁酒を混ぜてみたらどうだろう?と、梅酒を仕込む時にすでに出来上がっていた杏仁酒を混ぜたか、もしくは梅酒をつける時にあんずの種を入れて仕込み(どちらだったかは忘れた)、1年後に飲んでみたら、これがとても香りのいいお酒になったのだった。以来、梅酒を仕込む時には必ず、あんずの種も一緒に入れている。
 梅とあんずの時期には微妙なずれがあったりするので、あんずの種は、あんずジャムを作った時に出たものをとりあえずリカーにつけて保存している。本当は、あんずや桃の種を割って、中にある白い小さな「仁」と呼ばれる部分だけを使って作るのが本式なのだが、種を割るのは容易ではないため、私は割ることを諦めて種をそのまま入れている。それでも、種のいい香りが加わる。(ちなみに、梅もあんずも桃もバラ科ということが共通しているので、梅酒にあんずや桃の種を合わせても違和感がないだろうという発想で杏仁梅酒を作っているため、甘夏酒に杏仁を入れるようなことはしていない)
 
 私が果実酒を飲むのはたいてい、夏に氷を入れて・・・ということがほとんどなので、今夜の杏仁梅酒も久々に飲んだのだったが、これがすごくおいしかったので思わずラベルを見てみたら、2010年となっていた。
 2010年といえば、会津でカフェを始めた頃だ。前年の2009年には母が亡くなり、翌2011年にはカフェを運営していたグループの解散に伴って店も閉店することになり、それがきっかけとなって年末に実家のある真岡に引越した。
 2010年前後の3年間は、私にとってかなり波乱の巻き起こった時期でもある。その時の梅酒がいつの間にか5年越しのお酒となり、芳醇な色とコクを醸し出しているとは・・・。

 そうこうするうち、今年も梅の季節になって、直売所やスーパーで青梅を見かけるようになった。
 青梅とあんずの季節は本当に短いので、今年も仕込もうかどうしようか・・・などと躊躇していると、決心した時には時期が過ぎて材料が手に入らなくなった、ということにもなりかねない。
 で、結局今年もジャムを作りたくて、あんずの予約をしてしまった。
 それに、オレンジピール用に国産のバレンシアオレンジも。(これも、この時期を逃すと手に入らなくなる)
 時期が合えば、オレンジアプリコットジャムが作れるかな。
 さらに今年は、ちょっと気になった奈良の梅も予約して、梅干しを作るつもりでいるのだが、やっぱり梅酒も作ってしまいそうな気がする。
 今年仕込んだ梅酒は、少なくても1年は置いておく。たぶん、1年後でも、それ以前の果実酒がまだたくさんあって、すぐに飲んでみることはないはずだ。
 いつしか今年の梅酒を飲む時、私は2016年のどんなことを思い出すのだろう。