風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

ヒグラシとコノハズクと

 木曜日。スターネットにパンの納品に行く。
 何だかんだで遅くなって、5時過ぎに到着すると、お店のすぐ目の前の大きな木が茂っている林の中で、ヒグラシが一斉に鳴き始めた。

 子供の頃は、8月が終わる頃になるとヒグラシが鳴き始めた。家から少し離れた雑木林の方からカナカナカナ・・・という、どこかもの悲しい声が聞こえてくると、

 ああ もう
 夏休みが終わってしまう・・・

と、条件反射のように思ったものだけれど、最近はほとんどその声を聞かなくなってしまった。
 子供の頃に雑木林だったところは、震災後のここ数年の間に、建売住宅が建ち並ぶようになった。
 そのせいで、遠くからヒグラシの声が聞こえてくることがなくなり、確か去年の夏も、1度、庭のあたりで鳴くのを聞いただけだったような・・・。
 雑木林がなくなったり、気温が上昇したりしたのが原因でヒグラシが少なくなっている、というようなことを新聞か何かで読んだような気がするのだけれど、スターネットの前で何匹かが一斉に鳴いているのを聞いて、ここにはまだヒグラシが暮らしていける環境が残っているんだ、と安心した。

 気づかぬうちにいなくなっているもの、というのがあったりして、やはり今頃になると毎年鳴いていたコノハズクの声が、今年は全く聞こえてこない。ということに最近気がついた。
 すぐそこの高校の庭にある大きなケヤキに住んでいるのだと思うのだが、今年は、近くで家を建てていたり、校庭の工事をしていたりするので、警戒して来なくなってしまったのかも。
 夏の夜の、ホホーホホーというあの声が好きだったのにな〜。来年はまた、あのケヤキの木に帰ってきた欲しいな。