風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

土星の帰還

 子供の頃から星占いが好きだった。
 星を見ることが好きだったこともあり、興味を持ったのだが、ただ、その頃の星占いは、当たるとか当たらないとか、何かいいことが起こらないだろうかとか、そんなところでしか読めるものがなかったので、いつしか星占いは当たらないものと、興味を失っていった。
 ところが10年ほど前、石井ゆかりさんの書く星占いの文章を読むきっかけがあり、そこに書かれた心理占星術という視点での星占いの考え方がとてもおもしろく、星占いのしくみも含めて、一時はまって読み漁ったことがある。
(その頃私が読んだ記事が、今、「星占いの話。」という石井さんのnoteで少しずつ更新、公開されているので、興味のある方はアクセスしてみてくださいね)

 その星占いの仕組みを知らずにいきなりこういわれてもわかりにくいのだが、今年の12月20日、つまり今日、土星山羊座に移動する。
 占いの○○座生まれ、というのは、太陽が12星座を1年かけて1周するのを元に名付けられているのだけれど、土星は1つの星座に約2年半ほど滞在しながら、12星座を回っていく。なので、約29年に1度、自分の星座に土星が戻ってくることになる。
 星座にはそれぞれ守護星というのが与えられていて、土星を守護星に持つのは山羊座山羊座に戻った土星は、自分の家に帰って来た状態となり、山羊座生まれの人にとっては、土星山羊座にある2年半は、自分らしくいられる時間帯になると言われている。平たく言えば、山羊座の人は運気がよくなりやすい、ということになる・・・のかな?
 なぜこんなことを書いているかというと、これを書いているあおいベーカリーの店主=わたくし、山羊座なのである。ここから2年半ほどの間に運気がよくなり、より自分らしく生きられるようになるのではと、秘かにワクワクしている・・・というわけ。いや、なるのでは?というより、私の人生、ここから挽回してやるぜ!とやや意気込んでいる感もある。かな?
 それで、前回土星山羊座にあった29年前、自分はどんなふうだったかと思い返してみると、バイクで日本のあちこちへと、ツーリング三昧していた。それより数年前に、突然バイクに乗りたい!という衝動に駆られて中型自動二輪の免許を取りに行き、ボーナスを元手にバイクを買って近場から乗り始め、1泊2日のツーリングから、長い時には10日間のツーリングに行くまでになっていた。
 ちなみにそれまで、自分がバイクに乗るなど考えてみたこともなかった。それが、衝動に駆られて突き進んでみたところ、バイクに乗っている時がいちばん自分らしい!と思うようになった。間違いなくその頃は、今までの人生の中でもいちばんキラキラしていた時間帯なのだ。

 それを踏まえ・・・、今日から3年後の2020年まで、同じく土星山羊座に入るこの時間帯。
 パン屋になりたい!という衝動に駆られて、パン屋を始めてから早くも4年になろうとしている。バイクに乗りたい!という衝動に駆られて免許を取って乗り始めたあの頃と、そっくりではないか。ちなみにパン屋も、それまでパン屋になりたいと思ったことなど、よもや、自分がパン屋になるなど、考えてもみなかった。子供の頃でさえ、パン屋さんになりたいとか、ケーキ屋さんになりたいなどという夢を見たことはない。
 ただ一つ、あの頃と違っていることがある。バイクに乗っていた頃は、ツーリング三昧でどんなに楽しく過ごしていても、こんな日々がいつまでも続くわけがないと、心のどこかで覚悟していた。それは、その楽しい日々は、たまたま運がよくて手に入れたものだとわかっていたから。
 でも、パン屋をやっている、という今のこの状況は、間違いなく自分で選んで、自分の意志で積み重ねたものの上に立っている。だから、このことがそんなに簡単に崩れることはないと、今の自分は思うことができる。



 バイクに乗り始めた頃に買った、ケブラーという裂けにくいとされる生地が裏地についたジーンズ。
 近場で乗る時やショートツーリングの時にもよく履いていたのだが、温かいので、会津で暮らしていた時にも冬に履いたりしていた。
 履きやすいところが気に入って、もう1着スペアも買っておいたのだけれど、新しい方はほとんど使わないまま、古い方を今でも履き続けている。並べてみると、色落ちした古いジーンズの味わいが、これまでの自分の時間を表しているようで感慨深い。
 これまで着古したジーンズはすべて捨ててきたけれど、このジーンズだけは、一生捨てることはないだろう。
 そんな土星の時間の扉が、この瞬間に、再び開く。