風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

スイカズラ

 工房の脇のカエデとコナラの木の間にある、タマ(2年前に、推定19才で亡くなった先代の猫)のお墓に植えたスイカズラ。家の北側の生垣に絡まって増えていたツルを挿し木したものを植えたのだけれど、それが今年になって蔓(つる)を伸ばし始め、花をつけた。




 白い花が咲き終わる頃にはクリーム色に変わるので、金銀花とも呼ばれるスイカズラは、梅雨の走りのこの時期に、甘く清楚な香りを漂わせる。
 
 タマは、横浜に住んでいた頃に出会った、ノラ猫。最初は、アパートの隣の人がエサをあげていて来るようになっていたのだが、なぜか我が家の前にちょこんと座っていることが多かった。もともと犬派だったし、アパートでは猫は飼えないので、かわいいなと思いながらも無視していたのだが、そのうち頭を撫でてあげるようになってしまい、名前を勝手につけて呼んでみたり、ついには家の中に上げてしまって、いつの間にやら我が家の猫になってしまったのであった。
 タマは、本当に賢く、「猫格が違う」と思うくらいに気高い心を持った猫だった。
 飾り気のない白い花と甘い香りのスイカズラは、そんなタマにとても似合っている気がした。

 タマは、私のことを信頼していて、何があっても自分のことを守ってくれる人、と思っていたようだ。
 今となってはタマの方が私のそばにいて、守ってくれている気がする。
 そしていつの日か、私がこの世を去ってもよい日が来た時には、タマが私を迎えにきてくれる気がしている。