先週初めていらしたお客さまから、またもや
ここ 別世界ですね・・・
と言われた(笑)
何がそう思わせるのか?家の裏手に回るまでのアプローチから、パン工房が建っている庭の景色まで、人の家に入り込むというちょっと密やかなドキドキ感が非日常感を醸し出しているのか・・・そう言えば、先々週だったか、やはり初めて来てくれた小さな子供連れの若いお母さんが、
うわ〜
本当にパン屋さんだぁ!
パン屋さん あった〜!
と、何だかまるで、ヘンゼルとグレーテルがお菓子の家を見つけたような喜び方をしながら店に入ってきたことがあった。
その若いお母さんは、子供と一緒にお散歩していて看板を見つけ、あれ?こんなところにパン屋さん・・・と気になっていて、ようやく店が開いている日に来られたということだった。
そんなこんな、別世界のよう・・・とはいえ、工房を隠している木造の古い家は私の実家で、現在ここに住んで実生活を送っている私は、ごく現実的に暮らしているわけなのだが、2日前のこと。私がパン工房を建設してくれた仲間たちと知り合うきっかけとなった、非電化工房の「地方で仕事を創る塾」の後輩に当たる人たち4人が、見学を兼ねて遊びに来てくれた。
といっても、すでに1度会ったことのある人たちばかりだったので、自己紹介などという手間もなく、縁側に座ってすぐに雑談が始まったのだが、しばらく近況報告などで賑わっていたところ、ふと、工房が建ってから1年が経ち、特に壊れたところもなく無事に「立って」いるという話から、そういえばドアの取っ手の方が下がって、開けづらくなっている、という話になった。ドアは下がるものらしいですよ。それを見越して大工さんはドアをつけるらしい・・・ということのようなのだが、大工さんとか建具屋さんは、魔法のようにそのゆがみを直すよね〜という展開になったところで、大工系の仕事ができるOさんが、
ちょっと 見てみますか?
と立ち上がり、ドアの具合を見てくれることに。
そして、どうすればこの歪みを解消できるかを考えてくれて、道具があるならやってみましょうということになった。
なんだか めんどうなことを すみません・・・
と私が恐縮したところ、Oさんが何とも爽快な返答をした。
いや〜
うまく開けられるようになったら
やった〜!ってなるじゃないですか!
なんかいいなぁ。そういうの。
ドアを直すのに使う、ちょっとした小間物を買いにOさんが出かけたところで、私がいい加減に剪定をしたカエデの木を見ていたIさんが、
あそこは わざと残しているんですか?
と聞いてきた。
いえ 手が届かなくて
切れなかったので・・・
本当は あそこ 切りたいんですけど
と言うと、以前庭師の仕事をしていたというIさんが、
じゃあ 切ってもいいですか?
と言って、剪定してくれることになった。
梯子とのこぎりと剪定ばさみを用意して、Iさんがカエデの木を剪定していく。私が剪定するといっても、どこをどう切ればいいのかわからず、いい加減に切ってしまっているので、いつも春になると妙な伸び方をするカエデが気になってはいたので、
カエデの剪定って
どこをどうすればいいんですか?
とIさんに聞いてみところ、剪定の切り方には3つあって、切り方によって、枝が上に伸びるか横に伸びるかが変わってくるのだそう。
それでもっと知りたくなって、
あのやまももの木も 枝をすかせたいんですけど
どこを切ればいいんでしょう?
と聞いてみたら、Iさん、やらずにはいられなくなったらしく、ヤマモモの木の剪定もしてくれてしまったのだった。
その間に、買い物から戻ったOさんがドアの調整をしてくれて、結局、懸案事項だったことが2つ解決してしまった。
一段落ついたところで私がコーヒーを淹れて、残っていたパンを物々交換ということで手渡した。
自分の特技で 物々交換できるって
いいですよね〜
すると、
私も 役に立てて
嬉しいですよ
と、Iさん。
こんなことが起こるのもまた、別世界かも・・・。
そんな別世界に住んでいる私は、妖精なのか?はたまた妖怪なのか?さて、どっちだ!?