はっ!
と目を覚ますと、午前0時を過ぎていた。
い、いかん!!!
時刻を見た衝撃で意識まで一気に目覚め、
あれ・・・
お風呂も沸かしていないし
台所も片付けてない!
という事実に焦りながら、お風呂に水を足して沸かし、放置されたままの台所の洗い物を片付ける。
それからあわててこれから仕込むべきパン生地の分量を決めて、ノートに書いて、
いざ、工房へ出勤だ!
その前に トイレ・・・
と立ち上がろうとしたところで、玄関に近いあたりで誰かがばたばたと何かを追いかける音がしてきた。音の様子から、たぶんほたる(我が家の飼い猫 その1)だな。何を追いかけているんだろう?ま、まさかコガネムシじゃないもっと黒光りするあれではあるまいな。。。
と考えている間にも、私のすぐそばにいたふわり(我が家の飼い猫 その2)がその物音に反応して、現場に向かって走り出した。そうこうするうちに物音が騒がしくなって、あめ(我が家の飼い猫 その3)も加わっているような・・・。
なんだなんだ
猫たちが色気づいてい…る?
・・・いや なんか違う
色づいている??
色…色・・・
色めきだっている!
それだ!!
恐る恐る、バタバタと音がしている現場とおぼしき方へ行って明かりをつけてみると、玄関の上がり口のところにほたるがすわって、前足で何かを押さえている。ほたるのそばにしゃがんで、
何を 捕まえたの?
と足元に目をやるが、その下にあるものの正体は前足に隠れて見えない。仕方なく、ほたるが手を離すまでしばらく待っていると、
うわっ!
や、やっぱり・・!
そうなのだ。予想通りの黒い物体が、手を離したほたるの前足の下から顔を出したのだ。
うわっ
やっぱり ごきんちょ!
急いで流し台のところに引き返し、大量に仕掛けているGホイホイの一つを掴みあげて現場に戻ると、またもやほたるはそいつを押さえつけていた。とりあえず、逃がさずにいた模様。よし。
ほたる
そいつは 殺すか
ここに入れてちょうだいね
という私の願いを知ってか知らずか、しばらくするとほたるは、おもちゃ代わりと思っている動くその物体から、また手を離した。
うっ・・・
こわごわとGの直前に捕獲用Gホイホイを置いてみると、通常すごい勢いであらぬ方向へ逃げようとすると思われるのに、その時はほたるにだいぶ痛めつけられていたのか、じっと止まったままだった。ホイホイの前で佇むGに、
そうそう
そのまま前進すればいいだけですよ。
と気を送ってみるが、Gは佇んだままである。どうにも待っていられない性格のワタクシ、どんどんと廊下を叩いてみる。するとGは、ずん。と一歩前に進んで、Gホイホイの入口の足ふきマットの上でまた止まった。
ああ〜
そのまま直進〜!
もう、念を入れるくらいの勢いでじーっと見ていると、Gはまた、すすすっと動いて、ホイホイの中に入った。
わ!
やった〜!
入った!よね??
ごそごそ音がして、Gが無事にホイホイの中に捕獲されたのを、ちらっと覗き見て確認した。
あ〜 よかった〜
大捕り物帳、あるいは犯人取り逃がしという事態にならずに早急な解決となり、胸をなでおろす主人。
一方で、獲物を見失ったほたるとふわりは、あれ?どこ行った?とばかりに周りを見回している。よもや、Gホイホイに前足など突っこまれてはそれこそ一大事。あの粘着力、タダモノではないことを私はよく知っている。(それに、おびき寄せ用のあのにおいが、猫にとっても鰹節級においしそうに思える代物らしい)
早々にホイホイを流し台の脇に戻し、我が家に平和な夜が戻った。それは、かれこれ午前1時になろうとする真夜中の出来事であった。
さて
安心して これから仕込みだ
そうして私は工房へと出勤し、5時に仕込みを終えて自宅に戻る時にはすっかり夜が明けて朝となる。
あ〜
もうすぐ夏至だね〜
別世界と言えども、日常は、日々リアルに現実的な出来事の連続なのである。
それにしても、「ネコがゴキブリに色気づいている」はないよな(笑)