風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

入梅

 昨日の夕方、ホームセンターに猫のエサなどを買いに行ったついでに、グリーンコーナーを何気なく見ていたら、半夏生の苗を見つけて、思わず買ってしまった。
 半夏生の隣にはほおずきの苗もあって、それも一緒に。



 二十四節気の他に雑節というのがあり、その中に「半夏生(はんげしょう)」という日がある。半夏(はんげ)という毒草(マムシグサに似た植物)が生える頃、という意味から名付けられた時節の名前なのだが、半夏生の頃に咲く草、あるいは葉が半分白くなることから半化粧が語源なのでは、といわれているのが「半夏生」という草。
 ちょっとややこしいからくりなのだが、つまり、「半夏」と「半夏生」は全く別の植物で、雑節の半夏生は「半夏」が咲く頃。植物の「半夏生」は、半夏生の頃に咲く半化粧のように葉が半分白くなる植物、ということなのである。おわかりいただけました?

 説明が長くなったけれど、高校生の国語の時間に半夏生のことを教えてもらい、以来気になっていた植物だったのだが、自分の身近なところに生えているのを見たことはなく、でも、何度かそういう風流を解している方から半夏生の話題を聞くことがあったり、会津にいた頃に苗を見かけたこともあったのだけれど、結局のところ自分が育てる機会を持てないままだった。
 そんな折、梅雨入りも間近な気配が濃厚になって来たこの時期に「半夏生」の苗を見つけたのも、何かの運(?)。考えてみれば、和の風情のするものが好きな母が半夏生を庭に植えなかったのは、意外なくらいだ。半夏生の話をしたこともあったような気がするので、何か、きっかけが合わなかっただけなのかもしれない。

 もう一つのほおずきのほうは、家の東側に生えていたこともあったのだが、母が亡くなった後に私と妹が草むしりをしている間にとってしまったらしく、去年一本だけ残っていたのがあったのに、私がうっかりそれを抜き取ってしまい、苗が絶えてしまった。夏休みの頃に朱色の実をつけるほおずき、どこか懐かしさを感じると同時に、お盆の道行きに灯す明かりのようなあの形もかわいらしい。・・・ということで、苗を購入した。 
 苗につけてある札を見ると、半夏生は半日蔭、ほおずきは日当たりのいい場所、と書いてある。さて、どこに植えようかな。

 半夏生のことをあらためて理解するために検索していたら、「入梅(にゅうばい)」というのも雑節の一つで、今年は6月11日に当たるらしい。
 ちなみに雑節の「半夏生」は、今年は7月2日。天から毒気が降るとか、地面が陰毒を含んで毒草が生えるという言い伝えもあるとか。カビや細菌で食中毒を起こしやすい季節でもありますね。
 今日は、予約していた熟し梅が届いた。あと2日ほど置くとちょうどよく黄熟しそうなので、水曜日には塩漬けにできるかな。
 玄関先に置いた梅の香りが、本当にいい匂い。
 四季のある日本に生まれてよかった。
 じめじめとうっとうしい季節の始まりだけれど、こんな時にふと感じるんですよね。