風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

冬薔薇

 「冬薔薇(ふゆそうび)」という言葉が好きだ。
 俳句の季語になっているのだが、秋の盛りを過ぎてもなお花を咲かそうとする、名残りのバラのことを指す。寒さに痛めつけられながらも凛と咲くバラの気高さと、「ふゆそうび」という音読みの語感に魅かれる。

 営業日明けの月曜日。久しぶりに、井頭公園に行った。
 直売所で野菜を買ったあと、カメラを持って園内を散歩した。
 駐車場の手前のイチョウの黄葉が真っ盛りになっていて、ここにイチョウ並木があったのか!と、初めて気がついた。





 駐車場の向かい側の道路際に植えられているバラが、まだ花をつけている。





 ということは、バラ園にもまだ花がいくらか残っているのだろうか?
 








 バラ園に足を踏み入れると、最盛期の鮮やかな色とは違った、侘び寂びの世界の冬薔薇が・・・






























 冬間近なのに、見渡せば、たくさんの彩りがそこここに。






















 自分の色彩感覚は、こんな景色の中から形作られていったんだなぁと、あらためて思う。枯れていく中にも自然の風景には美しい色があり、その色合いの一つ一つを記憶していっているのだ。そして、色を自分の身の回りに置き換えて使う時に、記憶の中からその微妙な違いを探し出して見つけている気がする。
 木々が紅葉して落葉するのは、冬に向かって生きるためのエネルギーを最小限にするためだけれど、バラは、最後の最後まで咲こうとして花を咲かせる。
 バラの、花盛りの頃の華やかな色合いとは別の、内に秘めた強さから生まれる色。冬薔薇に惹かれるのは、その壮絶なまでの花の色を見ているからなのかもしれない。