益子のスターネットへ納品に行って帰ってくると、すっかり暗くなってしまう時節になった。
10月になっても曇りがちの日が続いていたけれど、今日はようやく晴れて、帰り道で三日月が見えた。
家に戻ってきてから工房に行くために外に出ると、あらためて目の前に三日月が現れた。考えてみれば、ずいぶんと月を見ていなかった気がする。
ああ〜 お月様・・・
久しぶり〜!
思わず挨拶をしたくなるくらいに。
工房での一仕事を終えて自宅に戻るために再び外に出ると、暗さが増した分、三日月といえどもあたりが明るく思えて、もう一度空を見上げてみると、月のすぐ下にやや赤っぽい星が2つ、縦に並んでいるのが見えた。
あれ?
何だろう??
火星・・・にしてはあまり赤くないし
と考えて、もう少しあたりを見渡すと、月よりも左上のところにまぎれもなく赤い星があって、それが火星のようだ。
ええ〜っと
今日は 射手座の月だから
射手座にあるのは 土星?
えっ!まじか!?
あれって もしや 土星?
土星が目視できるという感覚が自分の中になかったので、急いでパソコンを開いて確かめてみると、なんと、今日の三日月のすぐ下に位置しているのは、まさに土星ではないか!
あわててもう一度(もう3度か?)、外に出た。
三日月の下に淡い赤色の土星。さらにその下にあったのは、ほのかに赤いさそり座の1等星のアンタレス。そして、左上に真っ赤な火星。
きれいだなぁ・・・
本当に 久しぶりに 月と星を見た・・・
ここ1〜2ヶ月、仕込のために夜中に外に出ても雲が広がっていて、星が見えたためしがない。
暗闇の中で夜空を見上げた時、きらきらと輝く月と星は、人の心に確かに希望の火を灯してくれる。そして、自分の行く先を指し示してくれているような気がする。
ちなみに、今日の月が射手座にあると考えた「射手座」というのは、正確に言うと、星占いでいうところの射手座のエリアという意味で、占星術が始まった頃から今日までの長い時間の間にそのエリアは実際の射手座が見えるところとはずれてしまったため(占星術では、春分点を牡羊座の起点として、そこから黄道=太陽の通り道に沿って30度ごとに星座を割り振っていく)、射手座にある月とさそり座のアンタレスが一直線に並んでいる、ということが実際の空では起こっている。
星占いが当たるとか当たらないとかはたいしたことではなくて(少なくても私にとっては。ま、たいていは当たらないもの、と思っているよね)、ちょっとした人間ウォッチングを楽しむツールにしているのだが、夜空を見上げた時に星が輝いている、ということが人の心に明かりを灯してくれるということは、何千年もの昔も今も、変わらないのではないだろうか。暗闇の山の上で満天の星空を見上げた時、ヒトの悩みがいかにもちっぽけなものに思える、という経験を何度かしたことがあるけれど、数か月ぶりに見た町中の星でさえ、心の中のよどんだ空気を吹き飛ばしてくれるのだから。