風の通りすぎる場所@あおいベーカリー

自家製酵母のパン工房「風の通りすぎる場所@あおいベーカリー」に関するお知らせと、何気ない日常を綴っています。

アマナの花模様

 またもや、あっ!という間に5月になってしまいましたね・・・。
 テレビもなければ祝日というものにも関係がなくなっている私は、現在世の中はゴールデンウィーク真っ只中!という意識が全くないまま、日々が過ぎていく。
 とはいえ、先週の木曜日はスターネットの納品の数が陶器市バージョンの多数となっていたので、かろうじてGWが始まる感が醸し出されていた。なので、仕込のある水曜日前の火曜日の夜はしっかり寝なくては!と思っていたのに、なぜかすでに出現している蚊(!)がふとんに入った途端にまわりを飛び回り、

 ブ〜〜〜〜〜ン ブ〜〜〜〜〜ン ゞゞゞゞゞ

という音を果てしなく聞かされたがゆえに眠れなくなり、

 ちっくしょ〜 眠れない!

とイラついてさらに眠れなくなり、ようやく眠れたかに思われたのにまた

 ブ〜ン ブ〜ン

という音が耳に入ってきて目が覚め・・・の繰り返しとなって、体調不良のまま週末を迎え、昨日までの4日間は、睡眠不足が極致となって真夜中の仕込がかなりつらかった。(睡魔との戦いに負けて、クラクラとめまいと頭痛がしていた…)

 そんな先週の仕事日の中、一筋の癒しは、庭の花である。
 実家のある真岡に帰ってきてから、アマナの花が春の楽しみのひとつになった。県によっては絶滅危惧種となっているらしいアマナの花が我が家の一角に群生しており、この季節になると庭一面に咲くのである。




 実家に戻ってくるまでに住んだ場所では見たことがなく、この花のことをすっかり忘れていたのだが、三十数年ぶりに実家に一年を通して住んでみて、

 そういえば 子供の頃 この花を見たことがあったなぁ
 何ていう名前だっけ?

から始まり、緑色に白の縁取りのある蕾を毎年不思議な気持ちで見ていた子供の頃を思い出した。



 この、緑と白の色合いの組み合わせと尖った蕾のカタチが、なぜか私の心に印象深く残っているのだ。
 シャープな形の蕾が、自然界の造形としては優しさから遠いところにある気がして、それが何か引っかかっていたような気がする。それに、この2色の組み合わせが、どこか未熟さを印象付ける色合いというのと同時に、とても洗練された組み合わせのように感じていたような気もする。あらためて考えてみると、未熟な印象というのは、白の純粋無垢というイメージと、緑色が未熟な果実の色というところから来ていたのだろう。
 とにかく、子供の頃の私には、この花の蕾の方がとても印象的だった。
 あらためて、この蕾の緑色は花が咲いた後はどうなっているんだろう?ということが気になり、裏側を見てみたら、



こんなふうに花びらの裏側までも彩っていた。
 考えてみればこのアマナ、白(それも純白!)と緑(の濃淡)、それとおしべとめしべの黄色の3色で構成されている。おしべとめしべは一瞬のうちには目に入らないので、ぱっと見た瞬間には白と緑のみ。たぶんそのことが、私に深い印象を残した所以なのだろう。


 子供の頃からこの庭にある、紫木蓮




 小学校の入学式の頃に母と並んでこの木と一緒に写真を撮ってもらった、朱色のツツジ




 どちらも、はっきりとした花の色と共によく覚えているのだけれど、アマナと比べると思い出の中の印象が全く違っている。
 それから、去年庭に植えたマルメロの花。




 こちらは、淡いピンクがなんとも柔らかくて優しい。
 どの花の色もそれぞれに惹かれるのだが、一切の色を捨てて「純白」という色を選んだアマナの花が庭一面を埋め尽くすと、それまでの1年のくだらない雑念を一掃して、新たな春を迎えましょ、という気持ちになる。

 この家に咲くアマナの群落は、この家に住む者の心を浄化してくれるためにある・・・そんな気さえしてくる、5月の始まり。
 その純白の花が、今年も咲いた。