ブログが久しく途切れてしまっていたが、厳しい残暑のあと、急に冬が来たような寒さになったり、またも暖かくなったりと気温の変化が大きく、さらに季節柄、栗あんパンやアップルロール用の栗あんやらりんごジャムを作ったり、未だに庭の草刈りをしていたり、何だかんだでお疲れ気味だったのだが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
さて、梅雨が始まる頃から秋の残暑が終わるくらいまでは、酵母の調子が悪くなりがちな、自家製酵母のパン屋にとっては魔の時間帯だったけれど、今年も無事に乗り越え、自家培養の酵母でパンを焼き続けることができた。
パン屋を始める前も、さらにパン屋を始めてからも、ずいぶんと長い間、酵母の培養とパンの元種作りには苦労してきたのだけれど、ここ3~4年は1年を通して繋ぎ続けることができるようになり、そのおかげで自分自身の精神状態も安定してきたような気がする。
私にとって酵母は、ビジネスパートナーみたいなものですからね~。
ちなみにこの時期は、りんごの皮や芯、温州みかんの実などで酵母を起こしている。
特におすすめは、りんご。
りんごを食べる時に剥いた皮や芯をガラス瓶(煮沸消毒して冷ましたもの)に目一杯詰め、そこに水を瓶の口ギリギリまで注いで蓋をして発酵させると、成功率が高い。
皮や芯なので、ケチらずにいくらでも使えるところがいいのと、水を口いっぱいまで入れることで、発酵の見極めがしやすくなる。
最初はプシュっと音がするくらいだったものが、蓋を開けた瞬間にプシュっ!!!シュワシュワシュワ~~~と勢いよく中の水が噴き出すくらいにガスが出るようになったら、発酵液の完成だ。
そこまで発酵させると酵母の数が十分に増えているので、それをもとにパンの元種を作れば元種の成功率も高くなる。
欲を言えば、りんごは特に紅玉がおすすめだ。酵母と仲がよく、皮にたくさんの酵母が集まってくる。
あえて紅玉ではなくても、りんごは、できればスーパーに並んでいるものではなく、りんご園や直売所、道の駅などで売っている、生産者から直接自分の手に渡るりんごの方がより発酵しやすいのではと思われる。
涼しくなってきて、カビが発生しにくいのはいいのだけれど、酵母にとっては秋の気温はもうかなり低くて発酵は早くは進まない。
なので、すぐに諦めたりはせず、1週間~10日くらいは待ってみましょう。
自家製酵母でパンを作ってみたいと思っている方は、お試しあれ。
酵母の培養 補足
発酵液は、前述の、発酵がピークを迎えたところからさらにあと半日くらい待って、それ以降は冷蔵庫で保存する。
新たな瓶(煮沸消毒して冷ましたもの)に、茶こしなどを使って濃し入れ、りんごの皮をエサ代わりに少量入れておくと、酵母が長く生きています。
りんご以外でおすすめのものは、春はイチゴ、夏はブルーベリー、秋口にはブドウ。
必ず旬の材料(で、できるだけ無農薬か低農薬のもの)を使いましょう。
いちご、ブルーベリー、ぶどうを使う時には、ジャム瓶に材料を縁から少しあふれるくらいまで目一杯入れて、それを麺棒で上からそっと押して、実の半分くらいが潰れるようにする。
そこに水を口いっぱいまで入れ、蓋をして発酵させる。
春~秋口まではカビが出やすいので、材料ができるだけ水面上に出ないように、時々瓶を振って、表面がいつも水に濡れた状態を保つようにする。
実の一部が潰れたようにするのは、発酵が進みやすくするためなのだけれど、一方で皮が破れた実はカビも出やすくなるので、ぐずぐずになるほどには潰さないように。
イチゴはカビが出やすいので、長く保存することは避け、早めに使い切りましょう。
ブルーベリーは、酵母液の中に実(できるだけ皮が破れていないもの)が浸かった状態で入れておくことが可能です。
ブドウは、空気に触れると酸化しやすいので、実は少量だけ入れて保存した方がよいです。
2~3か月から、半年くらいは使えるかと思います。
私は2年前の酵母液で元種を作ることもできましたが、いずれにしても発酵したてのフレッシュな酵母液がいちばん成功率が高く、元気な元種ができるので、酵母液を保存するのは、発酵液が上手く作れなかった時のための予備用のつもりで。
余った発酵液は煮物などに加えて、だしや調味料代わりに使えます。
また、天然の炭酸飲料としても飲めますが、人によっては合わないこともあるかもしれませんので、そこは自己責任で、ということで。(シードルやシャンパンなどは、酵母によるアルコール発酵で炭酸が入った状態の飲み物なので、発酵液は、アルコールなしの炭酸飲料ということになりますね)