パン屋という仕事柄、手を酷使するため、以前から腱鞘炎気味だったのだけれど、今年になったあたりからそれが顕著になりつつあり、コーヒーを淹れる時に使っているホーローのドリップポットを持ち続けていることが危うくなってきた。
以前から時々、何かいいドリップポットはないかと探していたのだが、なかなか決め手になるものがなかったところ、今年の2月頃、見た瞬間に一目惚れした made in 新潟県燕市のドリッパー。
これまで使ったやかんやポット類の経験から、形状を見ただけでおおよその水の出方や使い勝手が何となく想像できるのだが、このポットは蓋がなくても上から水がこぼれ落ちることなく、水の出方を少しの傾きで調整できる、と想像できた。
お湯が冷めやすいのでは?という疑問が残ったので、しばし迷って考えたのだけれど、全体のフォルム、つや消しの品の良さ、ツバメのロゴマーク(その大きさと位置も絶妙!)、籐が巻かれた取っ手、どれをとっても やっぱりこれだ!と第一印象がゆるぎなかったので、あたらしいドリップポットとして迎え入れることに。
結果、大正解だった。
道具だけで料理の味が変る、という経験を今までフライパンとオーブンで経験したことがあるのだけれど、その第3弾として、ドリップポットもどれを使うかでコーヒーの味が変る、ということを知る。
そして、美しいこのポットを手にするだけで、コーヒーを淹れる時間がより楽しくしあわせなひと時になった。
ちなみにオーブンは、パン屋を始める時に、気になっていたパンに特化したオーブンのメーカーさんで試し焼きを無料で体験させてもらえたので、自分のパン生地でパンを焼かせてもらったら、
自分のパンって こんなにおいしかったの!?
と、目からうろこくらいの衝撃の体験をした。
残念ながら費用の面で工面がつかなかったので、泣く泣くそのオーブンは諦めたのだが、今だにその衝撃は忘れられず、あのオーブン使いたかったな~と思い出すことがある。(・・・余談です)
で、今日は何の話かというと、またもや先週の土曜日の出来事。
今までとは また別の常連さんが来て下さった時に、焼き上がったばかりのパンを袋に入れて手渡したら、帰り際に袋に顔を近づけて
いい香り・・・
しあわせの香りですねぇ
と一言。
工房に入ってきたお客さまが、思わず
ああ~
いいにおい・・・
と言って下さることはわりとよくあるので、どうも「しあわせの元種」は、焼き立てのパンの匂いのよう。
そして、最近、この工房では、毎週土曜日にしあわせの言葉の花が咲くようです。