朝からものすごい集中力でパンの成形と焼成を始めて、あとは二次発酵中のパンを焼くだけとなって作業が一段落したお昼近くに工房の外に出たら、空気の中に甘〜い香りが・・・。
あ
金木犀が 咲き出した・・・
工房の近所には金木犀を植えている家が結構あり、季節になるとあたり一帯が甘い香りで包まれるのだけれど、今年もその季節がやってきたことを甘やかな匂いで知るのだ。
かく言う我が家の庭にも金木犀の木があるのだが、たぶんまだ蕾は出ていないのでは??お隣の家の金木犀が咲き出したのだろうかと目を凝らしてみたが、花らしきものは確認できない。でも、確かに空気が金木犀色に染まっている。
パンを焼き上げた午後になってからうちの金木犀を確認しに行ったが、やはり蕾は出ていなかった。去年は春の剪定後の枝が十分に伸びきらなかったからか、花があまり咲かなかったけれど、今年は葉も茂ってきたので去年よりは花が咲くのではと思うのだが・・・。
暑さが苦手な私は、秋が待ち遠しい。なので、ここからは秋になる、という印のような金木犀のにおいに心が踊らされるのだ。
ああ
9月になって 秋が来た
金木犀の甘い匂いを嗅ぐたびに、そんな気持ちになる。
金木犀の代わりに、というわけでもないが、玄関前の一角に彼岸花が伸びていているのに気がついた。
彼岸花の茎は、ある日突然、地面から伸びてくる。
確か昨日、「本日パンあります」の看板を出すために朝来た時にはなかったと思うのだけれど・・・というか、夕方「本日はおしまい」の看板を出した時にも、地面には何もなかった気がするのだが、いったいいつ、どれだけの早さで地面から茎を伸ばしているんだろう?毎年、
え?
いつ 伸びたの???
という感じで、彼岸花の茎と蕾を見つける。
気づいた時にはすでに、蕾が赤く色づいている。単に私の目が節穴というだけなのか?それとも、半日で20cmくらい茎を伸ばすのか?今もって謎である。
名残りの蝉の声が少しずつ聞こえなくなり、光の差し込み方が斜めになって、空気の透明度が増してくる。
空が青から紺青に近づき、高く見えるようになる。
そんな秋が、目の前に。