大雪に見舞われた4年前の2月14日、あおいベーカリーを開店した。
その日からもくもくと毎週パンを作り続けて、丸4年が経った。
そして今日から私のパン屋歴は、5年目となる。
そんな経歴を大きな声で言えるほどのことができているか?
と考えると微妙だが、時間が経つのは早い。
ときどき忘れそうになっては思い出すのだけれど、どんなパン屋になりたいと思ってこの仕事を始めたのか。
最初にかかげたスローガン(?)は、
食う 寝る 遊ぶ パンを焼く
そして 時々 おすそ分け
だった。
いつもの生活の中で自分のためのパンを焼く時に、少し余分にパンを焼き、そのパンを売ったお金で生活できるようになりたい、というのが理想であり、目標だった。
そのスタンスは、今でも変わらない。ただ、パンを売ったお金で生活できるようになる、というところにはまだ少し足りていないのだけれど、パン屋を始めたら、
幸せだなぁ〜
と思いながら生きられるようになった。
それまで、組織(会社とか役場とか)に属して仕事をしていた頃は、人から言われた仕事をしなければならないことが窮屈だった。自分で時間を自由に使えないことにも、ストレスを感じていた。なので、「幸せです」と言える人がなぜそんなに無防備に「幸せです」と言えるのかがわからなかった。
それが、パン屋を始めたとたんに、自分の気持ちがガラッと変わった。実家に戻って、古い日本家屋に住み始めたことで安心感が大きくなったようにも思う。パン屋を始めてそれほど経たないうちに、
なんか 幸せだなぁ〜
と思っている自分がいることに気づいた。
そして、
人の気持ちって
こんなに簡単に変わるものなんだ
と、驚いた。
つまりは、自分の幸せは自分で作り出せるということなのだ。あるいは、自分の幸せは自分で作り出すもの、ということでもある。
開店前に、大前神社(おおさきじんじゃ)で「安全祈願」を主にお祓いをしてもらっているのだけれど、その後あらためてお祓いをしてもらいに行く機会を逸したままになっていたので、もうすぐ5年目になることもあり、先月、1月17日の新月の日に、4年ぶりにお祓いをしてもらいに行った。
年末に予約をしておいたら、その間に宮司さんが神様に伝える文言をいろいろと考えてくれていたようで、妙に長い宣詞(のりと)だった気がするのだが、開店前にお祓いに行った時に「パン屋を始める」ということを話したおかげで、それに、長くてちょっと変わった店名だったこともあって店のことを覚えてくれていたらしく、さらに、『栃木のおいしいパン屋さん』に掲載されたことも宮司さんは知っていらして、それも参考にしながら文言を考えてくれたようなのだ。
で、聞いていたら、
住宅街の一角で 人知れず・・・
とか、
知る人ぞ知る・・・
という言葉が5回くらい出てきたので、
いやいや
いつまでも 人知れずのままじゃなくて
たくさんの人に知ってもらって
毎回 売り切れになるくらいに
お客さまが来てくれるようになってほしいんですけど・・・
と、ちょっと笑いそうになりながら、お祓いをしてもらっていた。
ま、その度に「千客万来」という言葉付け加えられていたので、神様も笑いながら真意を受け止めてくれたのだろう。新年になってから、これまでよく来てくれている常連さんに加え、初めて来てくれたお客さまも毎週いて、
ん・・・
ちょっと 運気が上がってきたかな?
と、去年とは違った空気がお店に流れ始めているかも・・・と感じるようになった。
日常の暮らしの中で自分のために、そして、お客さまのために焼いたパン。そんな風にできる仕事を、続けていきたい。
お店に足を運んでくれている皆さま、そして、何だか気になっていて行ってみたいと思っているんだよねーという皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。