ぼやぼやしているうちに、今年も12月になってしまった。
いつものことながら、早い!
このところブログが滞り気味になっているが、なりゆきで自家製酵母のパンの作り方、みたいになってきたので、続きを書く。
パンの元種が完成した、という前提で以下参照。
パンの元種が完成したら、小麦粉と元種を使ってパン生地をこね、一次発酵させる。
元種は、基本的に粉の1/2量を使う。
ベイカーズパーセントでいうと、粉100%に対して元種50%
粉の量に対して生地の量は約2倍になるので、逆の言い方をすると、作りたい生地の分量の1/2の重さの粉をこねると、おおよそ生地の分量になる。
(例えば、200gの生地を作りたい時には、100gの粉と50gの元種を使って生地をこねると、約200gの生地ができる)
※粉は、小麦粉や全粒粉、ライ麦粉を合計した重量。
ベイカーズパーセントは、粉の重さを100とした時に、その他の材料の分量を百分率でで示したもの(すべて、重さ=g単位で計量する)。
作りたい生地によって、バターや牛乳、卵などを加える。
水分量は粉の種類によって大きく変わるので、ここでは分量を表記しないが、こねた生地の柔らかさは、ほっぺたを押した時くらいの柔らかさを参考に。
季節による湿度の変化によっても水分量が変わる。
国産の小麦粉だけをこねる場合は、たぶん60%以上になる。
こね方は、文章では伝えにくいので、動画などを探してこねてもらうとして、ここでは発酵のためのアドバイスを書いておく。
こねるのは、基本的にグルテン膜が密になるまで、ということになるのだが、最低でも20分はかかるので、頑張ってこねましょう。
では、一次発酵について。
こね上げた生地は、しっかり蓋のできる密閉容器(タッパーとかキーパーとか呼ばれているあれですね)に入れて、生地が26~28℃になるように保温する。
時々お客さまから、パンが上手く発酵しない、という質問をいただくことがあるのだけれど、たいていは、発酵に必要な温度が足りていないのでは、と思われる。
生地を26~28℃にするためには、まわりの温度(外気温)は35℃~40℃くらいが必要になる。猛暑の夏やお風呂のお湯と同じくらいの温度ということなので、たぶん自分が思うよりももっと高い温度が必要だと思っていい。
一次発酵をする時には容器に入れるので、比較的工夫の応用があれこれ考えられる。
私がパン屋を始める前にパン作りの自主トレ(?)をしていた時には、押し入れの上にある天袋(戸袋)を発酵機代わりにしていた。
特に冬は、ストーブをつけると、天井に近い位置にある天袋の中がちょうど28℃くらいになって、パンの発酵に最適だったのだ。
他には、冬であれば寝る前に生地をこね、自分の布団の中に入れて就寝すると、ちょうど起きる頃にパン生地が発酵完了している、という手も使った。
春になってくると、自分が起きる前に発酵が完了してしまうので、途中で目を覚まして生地がいい具合になっていたら布団の外に出して発酵を遅らせる、という技(?)も使った。
夜こねて朝に一次発酵が終わるパターンということは、朝から次の作業をすることになるので、余裕のある休日の前夜にこねましょう。
うまくできている元種であれば、生地温を26~28℃に保つと、ほぼ4時間で一次発酵が完了する。(リーンなハード系の生地の場合)
バターなどを入れたリッチな生地は、発酵に必要な時間がそれよりもやや長めになる。(4時間半程度)
この時間の感覚も目安にして、元種の状態を確認する。生地の温度を26~28℃に保っても4時間以上かかるときには、元種がうまくできていない可能性が高い。(元種自体が上手く作れていない場合や、元種はうまくできているけれど、パン生地を作るのに使うにはまだ十分に発酵が足りていない=元種が未成熟、ということもある)
ちなみに冬に、寝る時に布団に入れて発酵させていた時には、6~7時間はかかっていたように思う。冬はどうしても温度を保ちにくいので、他の季節よりは時間がかかることも頭に入れておきましょう。
今現在において一次発酵は、先輩にいただいたフードコンテナーという大きい保温容器に、生地を入れた容器と一緒にお湯を入れた容器を入れて保温している。
それを参考に考えると、発泡スチロールの箱に生地入りの容器を入れ、そのまわりに35℃~40℃のお湯を入れて保温する方法も使えそう。
お湯は、生地を入れた容器の中に入らないよう、蓋よりも下までの高さにする。
ぬるま湯は生地を温める間に冷めてくるので、時々熱い湯を足して、生地が28℃になるように調整する。
生地が温まったあとは40℃にすると暑すぎるので、生地の状態も確かめながら、お湯の温度を調整する。
余談だが、空気でものを温めるよりも液体で温める方が熱の伝導率がよいので、発泡スチロールの箱とお湯を使う方法のほうがパン生地の発酵がうまく進みやすいかも。
あとは、冬であれば、こたつも使える。これも、生地が温まった後にこたつが熱くなりすぎないように、気をつける。
また、フリースの布や毛布、膝掛け、ストールなどで容器を包んで保温性を高めるのも有効手段。
生地が2倍くらいに膨らんだら、一次発酵の完成だ。
フィンガーテストで、発酵の状態を確認する。
人差し指に小麦粉をつけ、生地に差込んでみた時に、穴が戻らずにきれいに残った状態になればよい。
穴がすうっと戻る時にはまだ発酵が足りていない。発酵が足りていない時には、もうしばらく暖めて。
指を入れてみた時に穴がすぐにしぼんで生地からガスが抜けるような状態の時は、発酵過多になっている。
しかし、発酵過多になっていても自家製酵母のパン生地が食べられないほどの生地になっていることはあまりないので、捨てたりせずに次の作業に進んで、とりあえず焼いてみましょう。
ただ、生地がべたついて成形ができない状態の時には、元種自体が上手くできていない可能性が大きいので、元種作りからやり直すことになります。
一次発酵のヒント 補足
この記事を書いていて、クーラーボックスは保温できないのだろうか?
と思い、検索してみたら、クーラーボックスは保冷は得意でも保温用には作っていないらしく・・・。
材質が高温によって変形したりする、という理由もあるようなのだが、保温できなくはなさそう(あいまい)なので、クーラーボックスを使って一次発酵をする、というのもありかなと。
生地を入れた容器と一緒に、お風呂と同じくらいの温度のお湯を入れたペットボトルを2~4本入れて、さらにフリースの布をまわりに詰めて保温をよくして、使えそうな気がします。
自分ではやってみたことがないので、できるかも?程度のヒントです。
ちなみに、フリースの保温性は、とてもいいです。(一次発酵におすすめの一品!)
手芸品店でフリースの布を売っていたりするので、活用してみてくださいね。(好きな大きさや形にして使えるところも便利)
生地の入った容器を包んでおくだけでも保温性がよくなります。
生地がしっかり温まったところで包むのがベスト。
それから、家の中の温度は高い位置ほど暖かくなるので、置き場所をタンスの上にするだけでも生地の温まり方が違ってきます。
暖かい部屋の高い場所を探してみましょう。